米国人講師や日本人母子の襲撃事件の原因として、中国内の反外国人感情が指摘されているなか、中国の主要なインターネット・プラットホームが、国粋主義的な投稿は不適切だとする立場を示し、取り締まりに乗りだした。昨年に始まりますます深刻化している外国人投資の減少を意識した措置ではないかとする分析が出ている。
網易(ネットイーズ)、テンセント、抖音(TikTok)、百度(バイドゥ)、新浪微博(ウェイボー)などの中国の主要なインターネット・プラットホームは先月29~30日、一部の利用者が極端に民族主義的な内容の投稿を掲載しているとして、それに対する取り締まりに乗りだすことを発表した。
網易は「(一部の利用者が)国粋主義感情を扇動しようとして、不適切なコメントをつけ、事実を操作している」として、これに対する取り締まりに乗りだすと発表し、微信(WeChat)を運営するテンセントもこの日、「反日感情や極端な国粋主義を扇動するコンテンツがある」として、関連コンテンツ836件と関連アカウント61個を削除したと明らかにした。
最近の中国では、先月初めからの1カ月間で、米国人講師4人が中国人に襲撃され、日本人母子が襲われるなど、外国人被襲事件が相次いでいる。特に日本人母子襲撃事件では、これを阻止して負傷した中国人女性が先月末に死亡し、「彼女は裏切り者だ」「なぜ日本人を助けたのか」などのコメントが寄せられ、「日本は沈没しなければならず、日本民族は抹殺されなければならない」などの極端な内容の投稿が登場した。
中国で不適切な内容の投稿を掲載するアカウントやコメントが削除・禁止されることは珍しくないが、大規模なプラットホームが一斉にこれらに対する不適切さを明らかにして対応に乗りだすことは、非常にまれなことだ。オンライン・プラットホームは中国当局の指導を受けていることから、中国当局が背後で動いているとみる分析が出ている。ラジオ・フリー・アジアは「中国が極端な民族主義的な発言を統制すると明らかにしたことはほとんどなかった」として、「インターネット・プラットホームを管理する国家インターネット情報弁公室などの命令があった可能性がある」と評した。
このような国粋主義的な行動に対するけん制の雰囲気は、最近の中国に対する外国人投資の減少を意識した措置である可能性がある。昨年の中国に対する外国人直接投資(FDI)は8.0%減少したが、中国で外国人直接投資が前年より減ったのは、2011年以来初めてのことだ。今年に入ると外国人投資はさらに急減しており、1~5月までは昨年同期よりなんと28.2%も減少した。中国が外国人に対して排他的になり、外国人が暮らすには危険なところだとする認識が広がる場合、外国資本の離脱はさらに強まる可能性がある。
中国政府は対策準備を強調している。中国経済の指令塔と呼ばれる何立峰副首相は1日、「外資工作(業務)座談会」を開き、「現在の外資誘致工作が直面する新たな形勢を正確に把握しなければならない」として、「不合理な制限を撤廃し、国内企業と外資企業を差別なしに接しなければならない」と述べた。
2024/07/02 19:20
https://japan.hani.co.kr/arti/international/cn_tw/50481.html