◇業界、関税交渉妥結に安堵
韓米関税交渉妥結で不確実性が解消され、バッテリー・バイオ業界も歓迎する雰囲気だ。米国に進行中の投資を増やしたり、新規投資への着手も加速化する見通しだ。
金容範(キム・ヨンボム)大統領室政策室長は31日、関税妥結に関する記者会見で「半導体、原発、2次電池、バイオなど韓国企業が競争力を持つ分野に対する対米投資ファンドも2000億ドル(約30兆円)規模で造成する」と述べた。造船業専用の1500億ドル規模のファンドとは別に構成されるファンドだ。
韓国バッテリー業界はすでに米国現地生産拠点確保のための大規模な投資を続けていた。LGエネルギーソリューションは現在、米国オハイオ州・テネシー州・ミシガン州などで単独あるいは合弁工場を保有しており、今後建設予定の生産工場まで合わせると30兆ウォンに近い投資を行っている。SKオンもジョージア州にSKバッテリーアメリカ(SKBA)を稼動する一方、ケンタッキー州・テネシー州にフォード合弁工場を建設している。サムスンSDIはインディアナ州にステランティス合弁工場を置いている。
特に業界では今回の交渉で米国で需要が爆発的に増える電力貯蔵システム(ESS)プロジェクト参加の機会を広げる契機になることを期待している。LGエネルギーソリューションは最近、計5兆9442億ウォン規模のLFP電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)供給契約を締結したが、米国テスラにESS用LFP電池を供給する契約と推定される。業界関係者は「米国が中国に対する貿易障壁を高める状況でESSのパイを育てようとしている韓国バッテリー業界としては肯定的要因」と説明した。
SKオンは同日、今年4-6月期に米国の先端製造生産税額控除(AMPC)を四半期基準で過去最大の2734億ウォンを受領したと発表した。これに伴い、SKイノベーションバッテリー事業は前四半期比の赤字幅を2330億ウォン減らした664億ウォンの営業損失を記録した。特にSKトレーディングインターナショナル・SKエンタムを吸収したSKオン統合法人基準では609億ウォンの黒字を達成した。サムスンSDIは4-6月期の営業損失3978億ウォンを記録した。
米国が近く発表する医薬品関税政策に関して韓国に最恵国待遇を約束し、製薬・バイオ業界はひとまず安堵している様子だ。企業の現地生産設備の構築も増える見通しだ。ただし原料・完成医薬品など品目にともなう関税方案が具体的に知らされていないため、まず状況を慎重に見守るという立場だ。
米国と関税交渉を終えた欧州と日本の場合、医薬品に15%の関税が適用される。韓国医薬品もこれに準ずる関税率が予想される。米国はグローバル製薬・バイオ業界で単一国家として最も規模が大きい市場だ。昨年、韓国の対米医薬品輸出額は約14億9000万ドル(約2248億円)だった。韓国バイオ協会のイ・スンギュ副会長は「現地生産設備構築時、日本、インドなど競争国より利点を持てるように政府が戦略的に動かなければならない」と述べた。
食品業界は15%の関税賦課が値上げにつながる雰囲気だ。「ブルダック」ブランドの輸出量を拡大していた三養(サムヤン)食品は、米国現地での値上げを検討している。ラーメンはこれまで無関税で米国に輸出してきたが、4月から10%関税の適用を受けている。1日からは15%の関税が課せられる。三養食品は、米国輸出製品の全量を慶尚南道密陽(キョンサンナムド・ミリャン)工場で生産している。
オリオンとオットゥギはいずれも米国現地工場の建設を推進している。CJ第一製糖(チェイルジェダン)と農心(ノンシム)の場合、米国内の生産設備を通じて関税対応が可能だという立場だ。
2025/08/01 11:37
https://japanese.joins.com/JArticle/337049