先週、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議出席のため米ワシントンを訪問した韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が10日(現地時間)、ホワイトハウス歓迎夕食会でウクライナのゼレンスキー大統領夫妻と会って対話をした。大統領室は事前に予告していなかったが、両首脳がホワイトハウスのバルコニーで笑顔で握手する姿がカメラに写った。
先月の朝ロ首脳会議後に大統領室がウクライナに対する殺傷武器支援を検討する意思を表しただけに、両首脳の対話は世界メディアの大きな注目を集めた。しかし大統領室は現在まで、あいさつの言葉を含めて両首脳間の対話内容を秘密にしている。当時の夕食会に同行した参謀も通訳などごく少数であり、尹大統領とゼレンスキー大統領との対話は竜山(ヨンサン)大統領室内部でも一部の参謀だけに共有されたという。尹大統領は翌日の11日に開催されたインド太平洋4カ国(IP4、韓国・日本・オーストラリア・ニュージーランド)首脳会合の後、4カ国首脳と記念撮影をしに来たゼレンスキー大統領と握手をしたが、これも写真だけが公開された。大統領室の関係者は両首脳間の対話内容について「公開できない事案」と話した。
外交関係者の間では、こうした大統領室の姿そのものがロシアに送るシグナルという解釈が出ている。ロシアに警告するものの、ウクライナ支援に関しては水位調節をしているということだ。尹大統領がゼレンスキー大統領と対話をする姿をメディアに露出したのも外交戦の一環という見方がある。漢陽大ロシア学科のオム・クホ教授は「現在、大統領室は朝ロ間の軍事協力に警告しながらも、外交的管理を併行するツートラック戦略をとっている」とし「殺傷武器支援を対ロシア外交のレバレッジとして使用する姿だ」と伝えた。
尹大統領はNATO首脳会議期間、「ウクライナ信託基金(CAPTF)追加寄与額を前年比2倍の2400万ドル(約38億円)まで増やすと発表した。CAPTFは非殺傷軍需物資支援資金であり、これもロシアが敏感になる殺傷武器支援からは一歩後退したものと受け止められた。15日に張虎鎮(チャン・ホジン)国家安保室長が開いたNATO首脳会議後続措置会議でも、政府は「ロシア側と対話を続けていきながら相応の措置を検討する」という立場を明らかにした。
大統領室がロシアに対する水位調節をする理由は2つほど言及されている。一つは朝ロ間の軍事協力が核兵器技術移転など最悪の状況に進むのを防ぐための外交的管理、もう一つはウクライナ戦争終戦の必要性を主張するトランプ前米大統領の大統領選挙勝利の可能性を考慮しているためだ。
元外交安保当局者は「朝ロ間の軍事協力は依然として可能性の領域として残っている状態」とし「核兵器の移転など最悪の状況を防ぐには我々もウクライナに対する殺傷武器支援カードを残して置かなければいけない状況」と話した。
また、トランプ氏の米大統領選挙当選の可能性が高まった点も大統領室を慎重にさせる理由に挙げられる。トランプ氏はこれまで「大統領に当選すればウクライナ戦争を24時間以内に終結させる」とし、ウクライナに対する過度な軍事支援に否定的な立場を明らかにしてきた。
2024/07/17 14:12
https://japanese.joins.com/JArticle/321261