【コラム】長引くウクライナ戦争…外交に善意は存在するか(2)

投稿者: | 2024年10月15日

◆東欧国家の警告が現実化

しかしこの提案は他の加盟国と事前に調整されていなかった。意外なブレーキがかかった。バルト海の小国エストニアのカヤ・カラス新首相が何に関する首脳会議なのか、何が目標なのかと問いただした。「私たちはプーチン大統領がクリミア半島を放棄するまで首脳会議をしないと話してきたが、まだその条件は満たされていない。私たちはどう映るだろうか。私たちの言葉に価値がないことを自ら示すことになる」。

 結局、EUとプーチン大統領との首脳会議の提案は否決された。大胆にもドイツ首相と正面からぶつかったカラス首相は12月、新任EU外交・安保代表および執行委員会副委員長に指名された。EUとプーチン大統領との首脳会議が実現していれば、果たして戦争を防ぐことができたのだろうか。楽観的な答えを出すのは難しい。ウクライナ戦争は欧州が従来から抱いていた対話と経済交流を通した平和に対する信頼を崩した。東欧国家の相次ぐ警告は事実になった。ロシアを含めた新しい欧州安保体制の遠大な絵も消えた。プーチン大統領の世界観と意図を誤認してロシアの善意を期待した欧州外交の主役は強硬対応に立場を旋回した。

◆北朝鮮・ロシア・中国の意図は

体制と理念が異なる相手国に対応するという点で、欧州と北東アジアの状況は違わない。むしろロシアという単一主体に対応する欧州に比べ、北東アジアには北朝鮮・ロシア・中国など多数の現状変更国が存在する。北朝鮮の核およびミサイル脅威も増大している。これらは韓国・米国・日本と世界観とは異なる権威主義国家だ。

最近は減っているが、韓国・米国・日本はともに中国と高いレベルの経済的つながりを持ってきた。緊張緩和と経済関係維持のための中国・ロシアおよび北朝鮮との対話チャンネル復元もいくつかの次元で提起されている。対話自体を拒否するのは愚かなことだ。外交は対話から始まる。しかし対話だけを持って平和を保障するには韓半島(朝鮮半島)をめぐる国際情勢はあまりにも厳しい。経済的な相互依存も平和を全面的に担保することはできない。何よりも我々は北朝鮮とロシアと中国の意図を正確に読んでいるのだろうか。

フランスの元老外交官モーリス・グルドモンターニュ氏は著書『他の人たちは私たちのように考えない』で、民族中心主義の視点がもたらす危険性を指摘している。自分の価値と政治体制が一般的だという考えは相手が実際に持つ意図と世界観を見えなくする。相手は自分の期待通りに考えて動くのではない。相手の立場で考えて共感する能力は外交で必須だ。意図を分かってこそ答えを探せる。

ウクライナ戦争にいたる過程を復碁してみる欧州の知性人の視点は、韓国が直面している状況に示唆するものがある。信じて期待すれば代価を支払わなければいけない。権威主義的国家の善意に基盤を置くのは危険なことだ。不確実性の国際秩序で安全を保障するのは自国の安保、経済的力量と同盟の強さだ。しかし当然のことは何もない。行動と成果が支えてこそ同盟の信頼につながる。冷徹な生存本能が要求される。

イ・ジェスン/高麗大国際学部教授

2024/10/15 15:36
https://japanese.joins.com/JArticle/324957

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