国政基調の変化か、一方通行の継続か。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は就任2周年の前日の9日午前10時ごろに記者会見を行い、各種懸案について立場を表明する。記者会見は2022年8月の就任100日記者会見以来、1年9カ月ぶり。大統領室のキム・スギョン報道官は6日のブリーフィングで、「尹大統領はこれまでの2年間の政府の国政運営基調と政策の推進状況を説明し、これからの3年間の国政運営計画を説明する予定」だと述べた。
今回の記者会見は、4・10総選挙で残酷な成績表を受け取った尹大統領が変化するかどうかを見極める場となる見通しだ。2022年4月27日に大統領職引き継ぎ委員会は「公正、常識、国益、実用」を国政運営原則と定めたと述べつつ、「政策と国政課題を国益と実用を基準として実行し、理念ではなく国民の多数の常識にもとづいて国政を運営し、ども国民にも公正に適用される法治の原則を確実に守ることによって、反則と特権を許さないという原則」だと説明している。だが、この2年間でこのような原則は事実上失われるか恣意的に適用され、韓国社会のそこここで退行を招いたとの疑いを呼んだ。
特に「公正と常識」は、尹大統領夫妻のかかわる疑惑の前にあっては例外なく無力だった。「キム・ゴンヒのドイツモーターズ株価操作疑惑特検法」に対する再議要求権(拒否権)行使、キム女史のブランドバッグ受け取りは「情を捨てきれなかったから」だとの釈明、「海兵隊C上等兵殉職事件捜査外圧疑惑」の最重要被疑者であるイ・ジョンソプ前国防部長官のオーストラリア大使任命などは、「誰にでも公正に適用される法治」とは程遠かった。
尹大統領は「バイデン-飛ばせば」卑語使用問題、梨泰院(イテウォン)惨事など、「国民の多数の常識にもとづいて」提起された疑問や怒りに対する公式謝罪もおこなっていない。むしろ尹大統領や政府高官の疑惑を提起した報道機関や記者に対して「圧力をかけることを狙った」捜査を行い、国境なき記者団(RSF)が先日発表した報道の自由度ランキングで韓国は180カ国中62位となり、昨年より15ランクダウンした。
「国益と実用」という原則もやはり、理念に偏った外交と右往左往する国政運営が覆い隠してしまった。韓米日と朝中ロの陣営対決に傾いた外交はこの2年間、朝鮮半島の緊張を高め続けてきた。政府は韓日関係の改善を成果として掲げているが、昨年3月に発表した「強制動員被害者第三者弁済案」や同年8月の福島第一原発の汚染水放出などの過程では、国益を得たのではなく日本に「免罪符」を与えたとの指摘から自由にはなれなかった。
就任最初の年の満5歳への就学年齢の引き下げ、昨年6月の修学能力試験(大学入試)からの「キラー問題排除」指示、医学部増員などの、体系的な準備や推進戦略なしに投じた政策は、国民を混乱に陥れた。金持ち減税と健全財政に固執しているが、物価高や高金利にあえぐ国民生活の問題の解決策ははっきりしない。
結局は尹大統領が変化するかどうかが残りの任期の国政運営の動力を左右する、との意見が示されている。建国大学常虚教養大学のイ・グァンフ教授(政治学)は、「国民に共感する姿勢、野党との協力、国政を運営する姿勢などにおいて大統領本人が変わることが重要だ」と述べた。
2024/05/07 05:00
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/49933.html