極端な日照りや洪水に備えて検討されてきた「気候対応ダム」の建設候補地14カ所のうち9カ所の建設が、3月12日に最終確定した。元来ダムは水没被害や生態・環境破壊問題を抱えているため、昨冬の候補地発表時点から地域住民や環境論者による反発が激しかった。環境部(日本の省庁に当たる)は今回、建設が確定しなかった5カ所については長期課題として引き続き論議していく意向を明らかにした。
気候対応ダムの推進過程で野党や環境団体は「米国などの先進国ではむしろダムを撤去する傾向にある」と主張する。実際、米国の国家ダムデータベース(NID)に登録された90万カ所のダムのうち、1912年から2023年までに計448カ所が解体された。高さ15メートルを超える大きなダムは27カ所が姿を消した。解体の理由は、ダムの老朽化による安全への懸念、河川の生態系の復元、経済性の低下などだ。特に「老朽化」は大きな問題だった。NIDに登録されたダムのうち約85%は建設されてから50年がたっていた。これに対し、1874年から2023年までにダムの崩壊事故は482件発生した。寿命が尽きたダムを壊したのだ。
しかし、ダム建設に反対する人々が触れていないことがある。米国はダムを解体することもあるが、新たに建設することもあるということだ。米国は2010年以降、異常気象や先端産業の工業用水の需要に備え、1000万トン以上の大規模なダムを29カ所建設している。1億トン以上の超大型ダムも2カ所建設された。21年に発表した155兆ウォン(約15.8兆円)規模の「50大緊急インフラ事業」のうち、ダムを含む水資源事業は18兆ウォン(約1兆8000億円、12%)に上っている。多発する日照りや山火事に苦しめられてきたカリフォルニア州は、1980年代に打ち切ることにした「サイツ貯水池プロジェクト(Sites Reservoir Project)」を2020年に再び進めることにした。計18.5億トン規模のダムを建設し、年間5.6億トン、住民2400万人が使える水を供給するのだ。
このように米国のダム政策は「解体」と「新設」を同時に進めている。米国で用途が尽きたダムを壊すことが、韓国が気候対応ダムを推進してはならない理由にはなり得ないのだ。
韓国は今回の気候対応ダムの建設候補地のうち、唯一1億トン規模で進められる水入川ダム(江原道楊口)の建設を保留した。水入川ダムは、気候変化の余波により2022年に韓国国内で初めて発生した1時間当たり100ミリ以上の集中豪雨が昨年は9回にまで上っており、昭陽江ダムと忠州ダムだけでは竜仁半導体クラスターなど首都圏の先端産業団地に必要な工業用水を供給できず、江原道華川ダムまで手を伸ばすことになった状況などを考慮した上で、「水の安全網」を確保する次元から検討されてきたダムだ。しかし、住民の反対で建設が行き詰まり、水災害への懸念を残すことになった。「米国のように」ダム政策を展開するよう求める論理通りなら、まず先に建設が進められていたダムだ。彼らの「選択的正義」が正しくない理由だ。
パク・サンヒョン記者
2025/04/06 11:35
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