韓国空軍が駐留する水原空軍基地(京畿道水原市)近くで、韓国戦闘機の離着陸を無断で撮影していた10代の中国人2人が警察に捕まった。2人は在韓米軍が駐留する烏山空軍基地(京畿道平沢市)もひそかに撮影していた。また、米空母が入港する予定の韓国国内の都市への交通機関も予約済みだった。米空母の入港日程は韓国人でも知ることが難しい。観光ビザで先月入国し、事実上、韓米連合戦力の情報収集活動をしていたのだ。このうちの 1 人は「父親が公安関係者だ」と言っているという。スパイ動員に年齢も性別も問わないのが中国だ。
先月も中国の情報要員が韓国の現役兵士に接近して韓米合同訓練の資料を盗み出し、韓国軍防諜(ぼうちょう)司令部に逮捕された。この中国人は、受け取った機密情報の対価を支払おうと韓国に入国して捕まった。昨年は国家情報院の庁舎をドローンで撮影していた中国人や、釜山海軍基地に入港した米空母をひそかに撮影していた中国人留学生3人が摘発されている。
米国防総省は先月、最優先課題に「中国の台湾侵攻阻止」を掲げた。中国軍が実際に台湾を攻撃した場合、在韓米軍や在日米軍も台湾防衛に投入される可能性がある。在韓米軍の空軍戦力は台湾方面に投入される可能性が高く、米空母も韓国や日本を中間基地として利用する可能性がある。韓米連合軍関連の情報を盗もうとする中国のスパイ行為は、さらに攻撃的かつ巧妙になるだろう。
ところが、韓国は中国のスパイ行為を「スパイ罪」で処罰することができない。スパイ罪の適用範囲を「敵国(北朝鮮)」から「外国」に拡大するという内容のスパイ法(刑法第98条)改正案が国会法制司法委員会で引っかかっているためだ。昨年、中国人に取り込まれた韓国軍情報司令部軍務員の機密流出事件が公になるや、与野党はスパイ法改正案で合意した。改正案は昨年11月、国会法制司法委員会の小委員会までは通過したものの、最大野党・共に民主党が突然、「悪用の恐れがある」と言い出し、足踏みしている。この法律は「外国」のためにスパイ行為をした人物を処罰しようというものだ。どのように悪用されるというのだろうか。
韓米軍の戦力施設を撮影していて捕まった中国人たちは全員、その理由を「趣味で」「好奇心で」と説明している。どんなスパイ行為をしても、韓国では「スパイ罪」で処罰されないことを知っているのだ。安保・技術戦争が日増しに激化しているのに、スパイ法改正をいつまで放置するのだろうか。
2025/04/09 10:40
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