トランプ発の関税戦争が航空業界のサプライチェーンにまで影響を及ぼしている。相互関税で航空産業のグローバル分業体制が毀損され、新規航空機の導入と整備部品の調達に支障が生じるという懸念が強まっている。
8日、航空業界によると、米航空機部品企業ハウメット・エアロスペースは最近、航空機製作会社ボーイングとエアバスに一部の部品の納品が関税のため中断されると公示した。ハウメット・エアロスペースは航空エンジンに入るアルミニウム部品などを供給する企業で、昨年の売上高は74億ドル(約1兆700億円)にのぼる。トランプ政権の関税発表以降、主要航空会社が納品の中断を警告したのは初めてだと、ロイター通信が7日(現地時間)報じた。
航空機はグローバル分業体制の下で製作される代表的な製品だ。胴体はイタリア(アレーニア)、翼は日本(川崎重工)、エンジンは英国(ロールスロイス)と米国(GE、P&W)で製作される。欧州のエアバスと米国のボーイングは世界から部品を調達して航空機を組み立てる。韓国からは大韓航空と韓国航空宇宙産業(KAI)が翼と扉を供給する。
ボーイングの主力機種B787には約230万個の部品が使用されるが、このうち30%の部品が輸入されるという。1次協力会社に素材と装備を供給する2・3次協力会社まで含めると、グローバル貿易規模はさらに大きい。
しかしトランプ発の関税戦争が本格化し、こうした分業体系にブレーキがかかった。トランプ米大統領は先月、鉄鋼・アルミニウムに25%の関税をかけたのに続き、5日には10%の一律関税を課した。9日からは57カ国に国別相互関税が適用される。グローバル航空業界は航空機部品産業の萎縮を憂慮している。市場調査会社グローバルインサイトが推定したグローバル航空機部品市場は昨年基準で6853億6000万ドルにのぼる。漢陽大のハ・ジュンギョン経済学部教授は「トランプ大統領はサプライチェーンが再編されるまで短期間の苦痛を乗り越えるべきだと言うが、世界すべての部品を米国で作るというのは不可能であり、非合理的な貿易政策を固守すれば、復活させようとする米国の製造業はむしろ大きな被害を受けることになるだろう」と話した。
国内航空業界は航空機納品の遅延を憂慮している。大韓航空は2019年にボーイングと新型旅客機30機の導入契約を締結したが、最終納期を2025年から2027年にすでに一度延期している。新型コロナ拡大とロシア-ウクライナ戦争でグローバルサプライチェーンが悪化したからだ。昨年仁川(インチョン)国際空港を利用した旅行客は7115万7000人と、コロナ以前の水準(7117万人)を回復したが、航空機サプライチェーンはまだ回復していない。韓進グループの趙源泰(チョ・ウォンテ)会長は先月、米ワシントンでボーイングのケリー・オートバーグ最高経営責任者(CEO)と会い、航空機の適時供給案を議論した。格安航空会社(LCC)では整備部品の需給問題が浮上している。エアプレミアは航空機6機を保有するが、整備に入った1機は部品需給の遅延で運航されていない。
韓国航空大のユン・ムンギル経営学部名誉教授は「グローバルサプライチェーンが悪化し、部品在庫と財務的状況が劣悪なLCC業界から打撃を受けている」とし「為替レートなどグローバル経営環境が不利な状況であるだけに、各航空会社はコスト削減と運営効率化に注力するとみられる」と話した。
2025/04/09 13:36
https://japanese.joins.com/JArticle/332328