「最近、海に大きな問題がある」…西海を襲った「冷水」に韓国漁民が悲鳴

投稿者: | 2025年4月29日

今月24日午後1時、忠清南道保寧市(チュンチョンナムド・ポリョンシ)の大川(テチョン)港。 午前4時に出港し、午前中ずっと操業していた「チニャン3号」が戻ってきた。船を船着き場に停泊させた後、網を整理していた船長のヤン・シドンさん(62)はため息をつき、「ガソリン代も払えない」と言った。ワタリガニの成魚期だが、船にはタイラギだけが見えた。記者が床に散らばったワタリガニを指しながら「一匹捕れたのか」と尋ねると、「それは(死んだまま捕れたものなので)売れないものだ。売るものがない」と答えた。

大川港の新黒(シンフク)水協委託版売場の水槽も空いていた。全体の水槽は50個余りだったが、ワタリガニは水槽の片方の網に入った十数匹が全部だった。沿岸漁業人協議会のキム・ドンジュ監査は「この時期にはワタリガニが少なくとも20~30トンは入るが、今日は1トンどころかいくつもない」と話した。また「12月中旬から異常の兆しが見えたが、最近海に大きな問題があるようだ」と語った。

 西海(ソヘ、黄海)が低水温のせいでがらんとしている。遠い海で生息して水温が上がれば、近海に戻ってくるワタリガニなどが戻ってきていない。保寧市で50年以上ワタリガニの操業をしてきた沿岸漁業連合会のキム・サンテ会長は「今頃は船から測る水温が23~25度になるのが普通だが、まだ20度を超えられずにいる」と話した。

現在、西海には「清水」(近海の底が見えるほど透明な冷水)が15日以上続いている。普通5日ほど現れて消えるが、冷水が海に留まると、ボラも上がってこないと漁民たちが口をそろえた。成魚期の4月中旬にもワタリガニ、ボラ、コウイカなど近海の特産魚種が獲れない理由だ。

委託販売の実績も急減した。昨年3月の第4週に委託販売されたワタリガニの量は441トンだったが、今年は76トンに急減した。卸売価格は2倍に上昇した。沿岸漁業の忠南(チュンナム)支会長は「忠南の海は南北の魚種が交差する『黄金漁場』と呼ばれるが、今10分の1どころか30分の1程度捕れているようだ」と話した。

国立水産科学院によると、現在、韓国の海域の水温は平年より0.5~1度ほど低い。衛星などを通じて観測した結果、今年2月末に平年より1~1.5度下がった後、1度ほど低い状態だ。

水産科学院のチョン・レホン気候変化研究課長は「低水温は4月中旬までに現れた余寒とわが国の海域を通る黄海暖流と対馬暖流の勢力が弱まったためとみられる」と話した。黄海暖流と対馬暖流は黒潮海流から派生し、それぞれ西海と南海、東海(トンへ、日本名・日本海)に熱を送る。水産科学院はこの5年間、黄海暖流と対馬暖流の強さが平年より強かったが、今年は平年より弱い状態だと明らかにした。

気候変動とともに毎年高温に苦しんでいた海が低温になった理由は何だろうか。これもまた気候変動により北極の海氷面積が過去最低水準に小さくなったことと関係があるという分析だ。海洋気候予測センターのクォン・ミンホセンター長は「現在、北極のバレンツ・カラ海の海氷が多く溶けている。これはウラル山脈付近のブロッキング(空気の流れを防ぐ強力な高気圧)の形成に影響を与え、4月に寒波を引き起こすなど、余寒を引き起こしたものと推定される」と説明した。

地球環境科学部のチョ・ヤンギ教授(ソウル大学海洋研究所所長)も、「黄海暖流と対馬暖流の熱輸送量が小さくなった原因の一つは、東シナ海(天気)が寒かったためだ」とし、北極発の寒さが暖流を弱めたと推定した。中国東部地域も春に3月と4月に吹雪と強風を伴う異例の寒波に見舞われたが、このような天気が黄海暖流と対馬暖流に影響を与えた可能性があるということだ。

チョ・ヤンギ教授は「ここ数年間、高水温が続いたことを考えると、海の生物が体験するストレスは非常に大きい」と説明した。沿岸漁業連合会のキム・サンテ会長は「今年の水産物価格が大幅に上がるはずだが、今後の対応のためには多角的な調査が必要だ」と指摘した。

2025/04/29 10:45
https://japanese.joins.com/JArticle/333142

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