「(自動車メーカーが)これからわれわれの部品を使わないで、米国で調達するといえばわれわれはどうすればいいのか心配だ。車種別の細部部品を作る金型だけでも1個当たり数千万ウォンするので、関税交渉で進展があれば良いだろう」
16日、釜山市江西区(プサンシ・カンソグ)の科学一般産業団地。自動車内外装部品メーカー、イドゥンテックのオ・リンテ代表がこのように話した。産業団地を東西に横切る智士川の両側に自動車部品メーカー20社ほどが集まるここオ代表は38年にわたり工場を運営している。
イドゥンテックが生産したスポーツ多目的車(SUV)用部品は蔚山(ウルサン)と昌原(チャンウォン)の自動車工場に納品される。部品の大部分は米国向け輸出モデルだ。オ代表は「自動車メーカーが米国で供給網を新たに確保するのに最小6カ月はかかるのでいまは大丈夫だがその後が心配」と話す。
トランプ米大統領が3日から輸入自動車部品に25%の関税を課し、韓国の自動車部品の88%を占める1万8800社の中小部品メーカーが「風前の灯火のようだ」として危機を訴える。米国は昨年、韓国の自動車部品輸出225億3000万ドルの36.5%を占める国で、この輸出の道が狭まれば韓国の部品産業崩壊につながりかねない。
米国に部品を直接輸出するメーカーは費用が増えた。京畿道華城(キョンギド・ファソン)の工場でヘッドライトを生産するHKテックは、現地輸入業者の要求により関税のうち30%を負担することにした。年間40億ウォン規模の取引で、約10億ウォン関税のうち3億ウォンをHKテックが負担する。この会社のユン・ジュンソプ営業総括代表は「売り上げの90%を米国への輸出で稼ぐが、残りの輸入業者も関税を負担するよう求めてきたらどうすればいいのか心配」と吐露した。関税ショックにさらされる2次・3次部品メーカーは米国工場近くにともに進出するのは難しい。
彼らが独自の研究開発で危機を打開する可能性も高くない。自動車部品業界と金融監督院によると、昨年売り上げ1800億ウォン未満の中小自動車部品メーカー94社の売り上げ比の研究開発支出の割合は1.4%で大企業・中堅企業119社の平均3.9%の半分にも満たなかった。これら中小企業の平均営業利益率2.2%は韓国銀行が集計する中小企業の平均貸出金利4.8%より低かった。韓国自動車研究院のイ・ハング諮問委員は「中小部品メーカーは専門人材確保と生産性改善も難しい状態だ」と話した。
こうした状況から今週始まる韓米通商当局の2回目の関税交渉に関心が集まる。英国と米国は9日に英国製自動車への関税を年間10万台まで25%から10%に縮小することで合意した。3回目の関税交渉を控えた日本では米国製日本車を逆輸入する案が議論される。
専門家らは自動車以外の分野で提示する協議案を準備すべきと話す。韓国貿易協会国際貿易通商研究院のチャン・サンシク院長が「米国は韓国の対米黒字を強く問題にしているため自動車分野の関税調整には現実的な難しさがある。エネルギーと造船業協力だけでなく、非関税障壁廃止や対米輸入拡大などさまざまな提示案を考えなければならない」と話した。
2025/05/19 06:53
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