金大中(キム・デジュン)・廬武鉉(ノ・ムヒョン)・文在寅(ムン・ジェイン)・李在明(イ・ジェミョン)に連なる歴代の大韓民国の進歩政権が、保守政権に比べ、南北対話により真剣に努力したことは明白な事実だ。それと同時に否定できないもうひとつの「ファクト」は、歴代進歩政権が国防力強化につねにより真剣だったという「痛烈な逆説」だ。実際に各政権の国防予算の増加率の平均値を比較すると、金大中(6.2%)・廬武鉉(8.76%)・文在寅(5.78%)の各政権が、李明博(イ・ミョンバク、5.32%)・朴槿恵(パク・クネ、4.58%)の各政権を大きく上回っていたことがわかる。
具体的な実態を調べてみると、この事実をより明確に知ることができる。文在寅政権期の2021年5月、韓米首脳会談を通じて、長年にわたり韓国のミサイル射程距離を制限していた「ミサイル指針」が消えた。その年の9月には、韓国が独自開発した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験に成功した。文在寅大統領は喜びを隠せないほどだった。日本の「いずも」と「かが」(2万トン級)より1.5倍も大きい3万トン級の軽空母を2033年までに建造するという計画を立てたのも、文在寅政権期だった。戦時作戦統制権の返還を重要な国家目標として掲げた歴代進歩政権が、一貫して韓国の軍事力を強化してきたことがわかる。
これに対し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は2023年1月、「自主核武装」に言及し、国内外で大きな波紋を呼んだが、3カ月後の4月26日には「ワシントン宣言」を通じて、米国の拡張抑止を強化する方向に進んだ。保守政権らしく、「自主国防」より「韓米同盟深化」の道を選んだのだ。
そして6月に発足した李在明政権は、わずか4カ月で、今後の韓国の国防政策に長期的にきわめて複雑な影響を及ぼさざるを得ない原子力潜水艦(SSN)の建造をめぐり、米国のドナルド・トランプ大統領の承認を得た。同時に、日本と同水準の「ウラン濃縮」と「使用済み核燃料の再処理」を行えるよう、韓米原子力協定の改正に乗り出す予定だ。アン・ギュベク国防部長官は、李大統領の任期内に戦時作戦統制権の返還を終えるという意向を繰り返し表明している。
表では平和を語り、裏では軍事力を増強してきた進歩政権の逆説的な言動に対する北朝鮮の伝統的な反応は、「南朝鮮式二重基準」(2021年9月25日、キム・ヨジョン副部長談話)、すなわち、二重基準(ダブルスタンダード)を取るなというものだった。いまや「敵対的二国」になったのだから、血縁間でするような説教もできないだろう。もしかしたら、われわれは今、南北の永久分断と韓国の自主核武装に進む第一歩を踏み出したのかもしれない。
2025/11/02 18:40
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