韓国大統領選挙に再召還された「RE100」論争…脱・脱原発で浮上する「無炭素エネルギー」

投稿者: | 2025年5月27日

「RE100(再生可能エネルギー100%転換)」が第21代韓国大統領選挙討論会で再度取り上げられた。3年前の2022年の第20代討論会でも広く知られたが、当時とは状況が多少変わった。帰ってきたトランプ米大統領が「原発再建」を宣言し、脱原発を前面に掲げた欧州諸国が「脱・脱原発」を宣言して原子力発電に回帰しているためだ。いまは無炭素エネルギー(CFE)転換がともに議論されなければならないという声が大きくなっている。

政界によると、与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)大統領候補は23日の大統領候補討論会で「再生可能エネルギーRE100は事実上不可能だ」として先進国でも原発を炭素排出を減らせる画期的な策とみていると強調した。原発を中心にしながら風力など再生可能エネルギーを並行しなければならないという主張だ。

 これに対し野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)大統領候補は「世界的企業が再生可能エネルギーで生産したものだけ買うという原則を定めたが、韓国ができなければ輸出ができなくなる。(通商の)現実をわかっていない」と指摘した。世界的企業がRE100など再生可能エネルギー使用を通商条件として掲げた現実に韓国企業が対応できなければ輸出で不利益を受けかねないということだ。

金候補の主張は現政権が推進してきた「CFEイニシアチブ」とも重なっている。再生可能エネルギーで作った電力だけ使わなければならないRE100と違い、CFEは再生可能エネルギーだけでなく、原子力、水素、二酸化炭素の回収・利用・貯留(CCUS)など温室効果ガスを排出しないすべての無炭素エネルギー源を含む概念だ。産業通商資源部は2023年から大韓商工会議所とともにCFE制度化を推進し、これまで英国、日本、アラブ首長国連邦など主要国が支持を宣言した。今月6日にはアップル、グーグル、マイクロソフトなどビッグテックが参加した米クリーンエネルギーバイヤー協会(CEBA)もCFEイニシアチブと覚書(MOU)を締結した。

これは最近世界的に広がる原発拡大の流れとも無関係ではない。トランプ大統領は23日、「これからは原子力時代」として、原子力発電容量を2050年までに4倍に増やし、新規原子力発電所許可決定を18カ月以内に短縮することなどを盛り込んだ大統領令に署名した。「脱原発」を叫んだ欧州諸国も相次いで方向転換している。ロイター通信によるとスウェーデン議会は最近原発新規建設資金を支援する法案を通過させ、ベルギー、デンマーク、イタリアなども原子力活用戦略を再整備している。ウクライナとロシアの戦争後、エネルギー安全保障の重要性が浮上し、原子力が炭素中立目標達成に向けた現実的な手段という共感が広がった結果だ。

もちろん再生可能エネルギー拡大を要求する流れは変わらない。韓国貿易協会が昨年まとめた報告書「輸出製造企業のRE100対応実態と課題」によると、輸出製造企業の16.9%がバイヤーや供給網元請け企業などから再生可能エネルギー使用要求を受けていると答えた。貿易協会は「供給網を含め炭素中立競争力を得ようとする顧客の需要が高まり再生可能エネルギー調達は輸出競争力と直結する避けられない課題」と診断した。

結局エネルギー政策をめぐる「保守は原子力、進歩は再生可能エネルギー」という形の政治的二分法を超えなければならないという提言が出ている。仁荷(インハ)大学製造革新専門大学院のカン・チョング招聘教授は「エネルギー政策は政権性向と関係なく科学的データに基づいて設計することで持続可能だ。再生可能エネルギーだけで電力を需給するには技術が不足し、原子力の割合だけ拡大するのも危険だ。どの政権になろうが調和が取れたエネルギーミックス(多様なエネルギー源の組み合わせ)を考えなければならない」と話した。

2025/05/27 10:16
https://japanese.joins.com/JArticle/334239

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