世界で今後建設が計画された原発の規模が最大700基に達するなど世界的に原発市場が拡大し韓国の原発も大きな機会を迎えた。だが激しい競争の中で世界市場の主導権を握るためには超えなければならない課題も多い。
世界原子力協会(WNA)によると、現在世界で各国政府などが新規原発導入の意向を明らかにした規模は307基だ。計画を立てて、許認可などが進行中の109基を含めば400基を超える。ここにトランプ米大統領が最近原発容量を2050年まで現在の4倍水準の4億キロワットに拡大することにしており、今後計画された原発規模は最大700基に達する見通しだ。
トランプ大統領は米国の原発規模を現在の92基・約1億キロワット水準から3億キロワット増やすことにしたが、この場合100万キロワット級大型原発300基を追加で作ることになる。現在稼動中の439基と建設中の67基を考慮すれば、今後原発規模は現在の2.5倍水準まで拡大する。それこそ「原発ルネッサンス」が開かれることになる。
原発導入計画はあふれるが、技術を持っている国は限定的だ。原発は1基当たり数兆ウォンの建設費用がかかる事実上の国家主導産業だ。大型原発の設計から施工・運営まで可能な原発輸出国に対象を狭めれば、韓国、米国、フランス、ロシア、中国、日本、カナダの7カ国にすぎない。これらの国が計画された原発700基を事実上分け合って建設する構造だ。
「原発ルネッサンス」に韓国の原発に対する基待も大きくなっている。国内で原発26基を運営している韓国は、2009年にアラブ首長国連邦のバラカ原発をはじめ世界の受注市場に本格的に参入した。韓国はバラカ事業で工事期間と予算の順守で競争力を認められた。韓国は1999年に「APR1400」モデルの独自開発宣言後、厳しい米国NRCの認証を2019年に、欧州ENSREGの認証を2023年に取得した。技術の国産化率は95%以上だ。建設・設計・整備・燃料生産まで垂直系列化された生態系を保有しているのも大きな長所だ。
だが韓国の原発が世界市場で主導権を握るためには障害も多い。まず韓国は安い工事費を受注競争力として掲げているが、マージン(純益)が大きくない低価格受注に対する懸念がそれだけ大きい。今回のチェコ原発受注の際に競争したフランスのEDFが契約手続きを問題にするのも韓国が政府補助金で価格競争力を後押ししているという認識があるからだ。
韓国電力と韓国水力原子力に二元化された原発輸出販路も不安要素だ。2000年に分社した韓国電力と韓国水力原子力はこれまで原発輸出機能を分け合っていたが、主導権をめぐり衝突が続いた。バラカ原発にともに参加した両社は追加費用支払い問題で不和を生じさせ、最近ロンドン国際仲裁裁判所(LCIA)での仲裁手続きに入った。
世界市場でプレーヤーは少ないが、競争はさらに強力だ。原発業界では「欧州市場の強者であるフランスが韓国の欧州進出を難しくさせるだろう」と指摘する。また、東欧、アジア、アフリカなどの市場ではロシアと中国の影響力が大きい。ロシアと中国は原発同盟を結び海外受注や核燃料調達などで協力している。
激しい競争の象徴的な事例がベトナムだ。原発4基の導入を計画中のベトナムでは6カ国の競争が繰り広げられている。ベトナムは2016年にロシアと日本との契約に近付いた状況で事業を中断したが、昨年11月に事業を再開し、ロシアと日本だけでなく他の国とも協議チャンネルを作っている。
最近ベトナム政府は米国との関税交渉カードとして原発を掲げている。ベトナムのグエン・ホン・ジエン商工相は「ベトナムと米国の貿易を均衡させるのに原発が重要な原動力になるだろう」とした。フランスのマクロン大統領は26日にベトナムを訪問し、ルオン・クオン主席と会い原発セールスを展開した。ベトナムと経済的・政治的に親密な中国も関心を見せている。韓国は韓国電力が駆け回っている。韓国電力関係者は「今後ベトナム政府要人を韓国の原発施設に招いて説明会を開催するなど受注活動を展開していく計画」と説明した。
韓国政府の一貫した政策と積極的な支援が切実だ。原発建設は数十年にわたる長期プロジェクトだが、韓国は政権交代ごとに政策基調が脱原発(文在寅政権)と脱・脱原発(尹錫悦政権)に急変し市場に混乱を与えている。実際今回の大統領選挙でも「原発は危険で持続可能でない」という「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補と、原発拡大を主張する「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補の立場は分かれる。
中央大学エネルギーシステム工学部のチョン・ドンウク教授は「原発300基を作る米国市場に参入できる国は事実上韓国、フランス、日本程度。米国が韓国の造船業に関心を持つように次期政権で外交力を発揮し韓国原発の競争力を米国側にしっかり説明することが重要だ」と強調した。その上で「まず国内需要が支えてこそ原発生態系が維持され、世界市場で競争力も大きくできる。次期政権でも原発が必要だという基調を維持する必要がある」と付け加えた。
2025/05/29 12:02
https://japanese.joins.com/JArticle/334369