米国が定めた相互関税猶予終了期間の8日を目前に控え、貿易交渉妥結を促すトランプ政権の圧力が高まっている。対米関税交渉の重大岐路に置かれた6日にワシントンDCを訪れた韓国大統領室の魏聖洛(ウィ・ソンナク)国家安全保障室長は関税交渉の折衝点摸索、韓米首脳会談早期成功に向け総力戦を上げる覚悟だ。
各国との交渉を同時多発的に行っているトランプ政権の要求は比較的明確だ。「貿易交渉を妥結させるのか、そうでなければ相互関税率が明示されたいわゆるトランプレターを受け取るか」に要約される。トランプ大統領は6日に取材陣と会い、「月曜日(7日)に書簡を発送する予定であり、12カ国になるだろう。15カ国になるかもしれない」と話した。前日に書簡発送対象国を12カ国としたが若干の変化が起きた形だ。続けて「火曜日(8日)と水曜日(9日)にも一部発送されるだろう」とした。
◇「BRICS反米同調国には追加10%」
トランプ大統領は7日、書簡を発送する具体的なタイミングまで特定して公開し圧力水準を高めた。彼は交流サイト(SNS)への投稿を通じ「世界のさまざまな国に対する米国の関税書簡、または合意が7月7日正午(日本時間8日午前1時)から発送されるだろう」と明らかにした。続けて「BRICSの反米政策に同調するすべての国には追加で10%の関税が課されるだろう」とした。BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなど非西側新興国の経済連合だ。
トランプ大統領は「7月9日か8月1日になれば関税率が変更されるか」という取材陣の質問には「9日までに多くの国と終えるだろう。書簡を受け取るか合意するか」と述べた。ラトニック米商務長官は「(相互)関税は8月1日から発効されるだろう。大統領はいま関税率と合意を設定している」と説明した。
◇「9日までに終了…書簡でなければ合意」
これと関連してベッセント米財務長官はこの日、CNNとのインタビューで「われわれはこれからの72時間とても忙しいだろう」としながら「トランプ大統領は交渉を進展させなければ8月1日に(相互関税率を初めて発表した)4月2日の関税水準に再び戻るという内容の書簡を送るだろう」と話した。国家経済委員会のハセット委員長はCBSとのインタビューで「米国はすべての国と対話する準備ができている。期間があって、ほぼ合意に近付いた懸案がある。この懸案はおそらくタイムリミットを過ぎるかも知れない」と話した。
トランプ政権の説明を総合すれば、▽相互関税猶予終了期間まで一部の国とは交渉妥結が可能であり▽合意が迫った国に対しては猶予期間を一部超えることもあるが▽交渉に進展がない国には4月2日に発表した相互関税率水準を明示した「トランプレター」を受け取ることになるだろうという意味とみられる。ベッセント長官は「最大限の圧力をかける戦術」という表現を使った。ただ相互関税発効日が8月1日と再確認した点からみると、7~9日の間にトランプレターが舞い込んでも今月末まで約3週間は「交渉の時間」が続くものとみられる。
◇魏聖洛室長、ルビオ国務長官らと接触
6日にワシントンを訪れた魏室長は8日まで滞在し、ルビオ国務長官兼国安全保障補佐官ら米政府高官らと接触する計画だ。魏室長に与えられた課題はトランプ政権を説得し最大限交渉の時間を稼ぎ、さらには李在明(イ・ジェミョン)大統領の訪米日程と韓米首脳会談の議題と関連した議論を具体化することだ。
魏室長はこの日記者らと会い、「(韓米間の)交渉がかなり重要な局面で動いており、もう少しハイレベルで関与することが必要という認識を持っている。私が来て対応すべきとの判断して来た」と訪米の背景を説明した。
現在までの交渉状況と関連しては「互いに協議が少し進行したのでもう少し立場が明瞭になったといえる。いまは米国が何か判断をしようとする局面で、われわれもそこに対応して判断しなければならない時」と明らかにした。訪米期間に今回の交渉と関連し韓国政府が決断を下さなければならない瞬間がくるかとの質問には「私がここにいる間にそうした判断があるというより、私も協議をし、またその協議を持って行き互いにそれからの段階を考えてみなければならないだろう」と答えた。
魏室長は米国側との協議過程で防衛費問題も議題に上るかとの質問に「さまざまな問題が協議対象になる」として議論の可能性を示唆した。防衛費問題が関税交渉と連動する可能性に対しては「多様な問題が互いに絡まっており互いに影響をやりとりすると考える」と話した。
韓米首脳会談開催協議状況と関連しては「早くやろうというところに共感があり、もう少し具体化する必要がある」と話した。ただその段階までまだ至っておらず、協議をさらに進めなければならないと述べた。
2025/07/07 17:28
https://japanese.joins.com/JArticle/335944