韓国政府が世界的供給過剰で危機に陥った石油化学産業の構造再編案を発表した。主要石油化学企業10社が参加する事業再編協約を締結し、最大370万トン規模のナフサ分解施設(NCC)縮小を目標に年末まで各社に具体的な計画を提出させる。縮小量は韓国全体の生産能力1470万トンの18~25%に相当する規模だ。
韓国政府は石油化学産業再編と関連し「先に自助努力、後から政府支援」の原則を明確にした。業界と企業が自発的な生産縮小と買収合併、施設統廃合などに出れば政府が規制緩和と金融・税制支援など総合対策を出すということだ。政府が主導する「ビッグディール」はないが、ただ乗りも容認しないという立場だ。
方向性を決めたのはまだ幸いだが石油化学業界の構造調整はすでに相当遅れている。日本と欧州は設備縮小を通じた構造調整を経て高付加価値製品を育てるなど体質改善に出て久しい。これに対し韓国の業界は依然として汎用製品に依存し、中国発の供給の波に巻き込まれ赤字に苦しんでいる。昨年12月に政府が自律的事業再編を促す構造調整案を出したが、業者同士の探り合いの中で状況はさらに悪化した。麗川(ヨチョン)NCCは破綻の危機にまで追いやられた。
韓国政府と業界の依頼によりコンサルティングを引き受けたボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の分析は冷静だ。石油化学不況が続くならば3年後には韓国企業の半分は持続が不可能ということだ。石油化学産業を維持するには国内の生産施設の24%を減らさなければならないと指摘した。具潤哲(ク・ユンチョル)経済副首相が「骨を削る覚悟で臨まなければならない」として生きるか死ぬかの覚悟を注文した背景だ。
事業再編と構造調整は石油化学業界だけの課題ではない。競合国の追撃の中で韓国の産業は淀んだ水になりつつある。大韓商工会議所によれば2005年と2025年に韓国の10大企業と10大輸出品目はほとんど変わらなかった。企業と品目それぞれ2つ程度だけ変わった。これに対し同じ期間に米国の10大企業はマイクロソフトを除きすべてが変わった。その穴をエヌビディアとアップルなど人工知能(AI)時代を主導する企業が埋めた。韓国の産業構造が停滞する中で世界は疾走しているという話だ。
半導体と造船など製造業強国だが新成長動力を見つけられない韓国の産業構造は危機につながりかねない。政府が企業の構造調整を思うままにするわけにはいかないが、国家成長戦略次元で産業政策の大きなビジョンを提示しなければならない。規制緩和と金融支援など構造調整に向けた誘引策を用意する一方、構造調整過程でやむをえず生じる各種の対立を仲裁するコントロールタワーの役割を担わなくてはならない。産業体質改善が遅れるほど払うことになる費用が増えるほかない。
2025/08/21 17:58
https://japanese.joins.com/JArticle/337845