秘密軍事協力まで…フィリピン、南シナ海危機に備えて台湾と密着中

投稿者: | 2025年7月17日

フィリピンが台湾と密着している。中国を意識して数十年間維持してきた台湾との距離をなくし、軍事・安保分野を中心に協力を強化している。激化する中国との南シナ海領有権葛藤で交渉力を高め、中国が台湾を侵攻する場合にフィリピンに向かってくる軍事的脅威に備えるための布石という分析が出ている。

フィリピンと台湾の軍事的密着は最近あちこちで捕捉されている。14日(現地時間)のワシントンポスト(WP)によると、フィリピン国防省に詳しい軍事分野の学者は今年初め、台湾軍幹部らと会った非公開フォーラムで、台湾の現安保状況に関するブリーフィングを受けた。特に両国は海上協力を強化中だ。フィリピン海岸警備隊と台湾海岸警備隊は最近、両国の境界のバシー海峡で共同巡察を実施した。

 6月には台湾海軍・海兵隊が、米国・フィリピン・日本・韓国海兵隊などがフィリピンで実施した多国籍連合訓練「KAMANDAG」を参観した。今回の訓練では台湾南端から約200キロの距離にあるフィリピン最北端のバタン島で対艦ミサイル発射演習をした。WPは「フィリピン軍は特定国を狙った訓練ではないという立場だが、専門家らは中国の台湾侵攻に対応する訓練とみている」とし「台湾は米同盟国間の協力を見守った」と伝えた。

外交協力も強化している。フィリピンのマルコス大統領は4月、政府関係者が台湾政府の関係者と接触することを禁止する規制を解除した。台湾国民のフィリピンノービザ入国も認めた。WPは「フィリピン政府は公式的には台湾の投資と観光客を増やすためと説明したが、フィリピン政府関係者は(これらの措置は)両国安保協力の強化を後押しする役割もすると明らかにした」と伝えた。

フィリピンが台湾と近づく背景には中国がある。フィリピンは南シナ海で中国と海上領有権をめぐり葛藤中だ。中国海岸警備隊の船舶がフィリピン物品補給船などに放水銃を発射し、これにフィリピン海警が対抗して緊張が高まったのが代表的な例だ。

南シナ海内の暗礁で両国がそれぞれ自国の国旗を広げて撮った写真を公開するなど神経戦も続いている。フィリピン国家安全保障会議によると、昨年フィリピン西部海岸海域で中国船の数が明確に増え、中国のサイバー攻撃とスパイ活動の脅威も強まっている。

フィリピンは中国が敏感になる台湾との協力で交渉力を高める考えだ。フィリピンのテオドロ国防相はWPに「我々の地域内で中国が武力行使をすることは極度に憂慮されること」とし「フィリピンは依然として『一つの中国』政策を守っているが、フィリピンと台湾の運命はしだいに絡んでいる」と話した。

また「フィリピンは(中国の南シナ海関連の)変化に対応して台湾との関係を進展させる権利がある」とし「これは中国の怒りを呼ぶかもしれないが、これまで隣国の強力な国(中国)をなだめようとするフィリピンの試みはいかなる成果も得られなかった」と語った。

実際、中国はフィリピンの動きに強く反発している。中国外務省の郭嘉昆報道官は最近、「台湾問題は中国の核心利益の核心」とし「フィリピンが台湾問題で挑発や火遊びをやめることを要求する」と強調した。

中国はフィリピンが米国との軍事協力を通じて台湾問題に介入しようとする動きも警戒する。4月にフィリピン軍のブラウナー参謀総長が「中国の台湾侵攻にフィリピン軍が備えなければいけない」と発言すると、中国外務省はフィリピンに一線を越えるなという警告をした。

最近、米軍の最新鋭対艦ミサイル体系ネメシス(NMESIS)がフィリピンに配備されたことについても、中国国防省の張暁剛報道官は「フィリピンは米国の戦争戦車に縛られて地域を不安定にさせる共謀者になった」と非難した。これに対しマレーシアをはじめとする東南アジア国家の中ではフィリピンの動きが中国を刺激して地域内の米中葛藤状況を悪化させると懸念していることが把握された。

しかしフィリピンとしては台湾の状況は他人事ではない。台湾南部と首都マニラがあるルソン島とは直線距離で350キロしか離れていない。しかも台湾にはフィリピンの労働者およそ15万人が居住する。有事の際、フィリピン人の安全も脅かされる。マルコス大統領は2023年、「台湾海峡で(武力)衝突が生じる場合、フィリピンが関与しないシナリオは考えにくい」とし「我々は(台湾紛争の)最前線にいると考えている」と述べた。

米戦略国際問題研究所(CSIS)のグレッグ・ポリング東南アジア局長は「中国はフィリピンを米国の操り人形と考えたが、フィリピンが台湾に接近したのは中国のため」と同紙に話した。中国が南シナ海で見せた攻勢的な態度がフィリピンと台湾の協力を招いたという分析だ。

◆中国侵攻時は地下鉄で防御?…台湾が重武装訓練

一方、台湾軍が中国の武力侵攻の可能性に備えて、首都・台北の地下鉄を活用した実戦型兵力機動訓練を実施したと、米軍事専門メディア「ザ・ウォーゾーン」が14日報じた。台湾軍は9日から始まった年次訓練「漢光訓練」でスティンガーミサイル、擲弾発射器、対戦車ロケットなどで武装した兵力を地下鉄に投入した。

台湾国防部は「軍が地下鉄で目標地域に迅速に到着し、敵と交戦する状況をシミュレーションした」と明らかにした。台湾は中国の侵攻時、135駅と約150キロの地下鉄を兵力輸送と都市防御の核心手段とする考えだ。台湾は15日には「空母キラー」と呼ばれる射程距離400キロの対艦ミサイル「雄風3」改良型も公開した。

2025/07/17 13:18
https://japanese.joins.com/JArticle/336404

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