日本が22日(現地時間)、米国との関税交渉を終えたことで、最後の総力戦に突入した韓国がどのような成果を引き出せるかに関心が集まっている。
一部では、まだ成立していない首脳会談で談判する可能性もあるという予測も出ているが、準備不足の会談に対する懸念も少なくない。まさにこの日、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領はトランプ氏に直接会ったにもかかわらず、関税を1%ポイントしか引き下げられずに帰国した。
◇フィリピン大統領、急いで米国に飛んだが…成果は1%の修正
トランプ氏は日本との関税合意発表の6時間前、自身のSNSに「フィリピンが米国に市場を開放し、関税をゼロにする貿易協定を締結した」とし「一方、フィリピンは(米国に)19%の関税を支払うことになる」と記した。
フィリピンの立場からすると、20%関税の通告を受けた直後、自国の大統領が直接米国に飛んだにもかかわらず、関税を1%ポイント引き下げることしかできず、屈辱を受けた格好だ。19%の関税率は、4月に通知された17%よりも高い。フェルディナンド氏は、自身がまるで屏風の飾りのように座らされ、トランプ氏が米国の記者団と国内政治問題を議論するという、トランプ特有の屈辱的な記者会見にも耐える羽目になった。
◇同盟を掲げたが…「私がいなければ、いま誰が大統領だったか分からない」
フェルディナンド氏はこの日の会談で、米国との同盟関係を繰り返し強調した。しかしトランプ氏は「フィリピンはイスラム国(ISIS・過激派テロ組織)とテロリストであふれていたが、私の任期中に彼らを完全に掃討した」とし「もし私が関与していなかったら、今誰があなた(フィリピン)の大統領だったか分からない」と発言した。
通常、両首脳の冒頭発言のみが公開される首脳会談と異なり、トランプ氏は今回も約40分にわたり記者の質問を受け、生中継テレビショー形式で会談を進めた。記者団は米国内問題のみを質問し、フィリピン大統領は発言の機会すら得られず、米国の国内政治論争を黙って見守ることになった。
やっと発言の機会を得た少数のフィリピン記者が関税について尋ねても、トランプ氏はそのたびに「あなたはフィリピンの記者か」と尋ねた後、「彼(フェルディナンド氏)があまりに強硬で合意に至れなかった」「実は私は今よりも以前の彼の方が好きだった」など、嘲笑混じりの言葉で一貫した。
◇合意はしたが…日本の首相も味わった屈辱
この日、合意を導いた石破茂首相も首脳会談で屈辱を受けた。石破氏はトランプ就任直後の2月に続き、先月カナダで開催されたG7(主要7カ国)首脳会議の際にもトランプ氏と会談していた。日本は同盟関係を掲げて関税交渉に自信を見せたが、会談後には既存の24%よりも1%ポイント高い25%が記された“関税通告書”を受け取った。
特に先月のG7をきっかけにした会談以降、トランプ氏は「日本は非常に甘やかされてきた(very spoiled)」などの暴言を浴びせながら、日本に圧力を加えてきた。今月20日の参議院選挙を控えていた石破氏は「極めて遺憾だ」と強く反発し、とりわけコメについては「農業を犠牲にするというようなことは一切含まれていない」と対抗した。
それにもかかわらず石破氏は選挙で惨敗し、政治的危機に陥った。そしてトランプ氏はこの日、SNSで日本との関税交渉の妥結を一方的に公表し、「日本がコメや特定農産物を含む貿易を開放することにした」と書き込んだ。
◇負担増大…自動車・コメ・エネルギーなど難題山積
日本の交渉結果は韓国にとって負担要因だ。日本が相互関税を25%から15%に下げたことで、韓国にも交渉の余地があることは示されたが、同時に、主要同盟国にも15%という決して低くない関税が適用されうるという事実も確認された。
特に日本は、米国が一貫して拒否していた自動車の関税を25%から12.5%に引き下げる代わりに、死守を叫んでいたコメ市場を差し出した。外交消息筋は「韓国が自動車関税を下げられない場合、最大の対米輸出品である自動車市場が打撃を受けるしかないが、かといってコメ市場を開放すれば政府は政治的危機に陥る」とし「米日交渉の具体的内容を綿密に分析する必要がある」と述べた。
また、日本が投資を約束した5500億ドル(約80兆円)がアラスカ液化天然ガス(LNG)開発に投入される場合、韓国も同様の要求を受ける可能性がある。アラスカLNG開発は事業性が不透明との評価もある。金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官は訪米期間中、ダグ・バーガム国家エネルギー委員会議長兼内務長官、クリス・ライト・エネルギー長官、ハワード・ラトニック商務長官らと面談する予定だ。
この日公開された米国とインドネシアの交渉詳細も韓国に示唆を与える。インドネシアは相互関税を既存の32%から19%に引き下げる代わりに、米国産自動車や農産物、医薬品に対する実質的なすべての規制を免除した。また、データ流通に対する課税も中断することにした。自動車の非関税障壁撤廃、農産物市場開放、プラットフォーム法の撤廃など、米国が韓国に求めている内容と大部分が一致している。
◇「長官を飛ばしての首脳会談は良くない」
韓国外交界では以前から「政治的決断が必要な案件が争点になるに従い、最終的に大統領が出るしかない」とする主張と、カナダ・日本のように首脳が出た後に高関税を通告された前例を理由に「拙速な会談は危険だ」とする意見が交錯してきた。
これに関連し、トランプ政権1期目で米国通商代表部(USTR)の代理代表を務めたステファン・ヴォーン弁護士はこの日、ワシントン特派員団との面会で「交渉は通常、長官級で合意できる内容を把握した後、難しい争点を大統領に持ち込む」とし「手続きを飛ばそうとする試みは、通商上良い考えではないと思う」と語った。
2025/07/23 15:58
https://japanese.joins.com/JArticle/336648