トランプ氏の”関税の一手“は果たしてどうだったのか…「勝利した」自賛の中にもくすぶる不安

投稿者: | 2025年8月1日

米国のドナルド・トランプ大統領が「相互関税」交渉期限だった1日(現地時間)を控えて「勝利」と自評している一方で、長期的には懐疑的な見方も存在していると7月31日、CNNが報じた。トランプ氏はこの日、各国間の関税調整交渉の結果を反映した大統領令に署名した。これは7日午前0時1分から発効される。

トランプ氏は過去4カ月間、一方的な高率関税を提示して韓国や日本、欧州連合(EU)など世界中の貿易相手国と交渉を開始し、主要国との間で相次いで二国間合意を取り付けた。大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長はこの日、CNNとのインタビューで「一つの大きく美しい法案(減税案)の通過と貿易交渉の妥結によって、経済の不確実性が解消された」とし「今年後半にはさらに大きな成長を期待している」と述べた。

 今回の関税戦略の核心は「米国市場のレバレッジ(leverage)」だという。ミラン氏は「大多数の経済学者は関税を有害だと見るが、彼らは米国の持つレバレッジを過小評価している」と主張した。彼は「貿易赤字が大きい米国市場は、外国の輸出国が関税を負担してでも接近せざるをえない構造だ」とし「その点が交渉力を高めた」と補足した。

関税賦課発表当時に出ていた経済的不確実性や危機感に対し、ミラン氏は「米国が持つ影響力の大きさを正しく把握していなかったため」と述べた。「トランプ氏は米国の影響力の大きさを理解しており、その影響力を他の誰にもできない方法で活用した」と説明した。実際、トランプ氏は日本や欧州連合(EU)との交渉において、投資金額をペンで直接修正するなど、細部の調整にも関与したという。

CNNによると、米国の平均実効関税率は1930年代の「スムート=ホーリー法」以来、最高水準にまで急上昇し、関税収入は急激に増加した。株式市場は関税に関する不確実性を乗り越え、ここ数週間で過去最高値付近を推移している。専門家が予想していた急激なインフレはまだ発生しておらず、米国経済は比較的堅調な流れを維持しているという評価も出ている。

しかしCNNは「トランプ氏が真の勝利宣言をするには時期尚早」とも指摘した。米連邦控訴裁判所は、大統領による関税賦課の権限に対して違憲の可能性を提起している状態だ。中国との交渉も、11月までの90日間を猶予するという暫定合意にとどまっており、事実上の膠着状態に近い。交渉が11時間後にようやく妥結したEU内部でも、「受け入れがたい譲歩」(欧州議会国際貿易委員会委員長のベルント・ランゲ委員長)といった反発が相次いでいると言われている。

さらに、一部の消費財価格はすでに上昇し始めている。米商務省はこの日、6月の個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比で2.6%上昇したと発表した。前月比では0.3%の上昇だった。これに伴い、米連邦準備制度理事会(FRB)は7月の政策金利を4.25~4.50%で据え置き、今後の利下げへの期待を一蹴した。

金利上昇期待が後退すると、投資家たちは安全資産である金(ゴールド)に殺到した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)では金先物8月物がトロイオンス(1トロイオンス=31.10グラム)あたり前日比0.1%下落の3348.60ドルで取引を終えた。金の現物価格は取引中に一時1%以上上昇し、日本時間1日午前2時54分には前日比0.6%高の3294.56ドルを記録した。Jayne Metalsの副社長でチーフ金属戦略家のピーター・グラント氏は「8月1日の関税期限が迫り、貿易の不確実性が再び頭をもたげたことで、安全資産需要がやや回復した」とロイター通信に語った。

2025/08/01 16:09
https://japanese.joins.com/JArticle/337064

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