世界の自動車産業が新たな変曲点を迎えた。今回の契機は電気自動車でなく、米国発の関税だ。米国から自動車品目関税15%を割り与えられた韓国、日本、欧州連合(EU)など主要自動車輸出国のほか、米国外での生産工場を増やしてきた米国の自動車メーカーも直撃弾を受けることになった。
世界の自動車業界では米国発の関税戦争でこれまで国・地域別に分散していた部品生産、組み立て、販売の供給網が再編されるとみている。米国の自動車メーカーがすでにそのような兆しを見せている。フィナンシャル・タイムズは2日、「GMとフォード、ステランティスの米国自動車大手3社が多く使う中国製部品に最大72.5%(メキシコ経由時)の関税が課され深刻な打撃を受けている」と分析した。
実際に米ゼネラルモーターズ(GM)は先月22日、4-6月期に関税による打撃が11億ドル(約1629億円)に達したとし、7-9月期には損失がさらに大きくなるだろうと明らかにした。前日にはクライスラー、ジープ、フィアットなどを保有するステランティスが自動車とその部品に対する関税でこれまでに3億5200万ドルの費用が発生したと発表した。
同紙はトランプ政権の積極的貿易政策により米国の自動車メーカーへの影響は今後さらに大きくなるだろうと予想した。「関税が自動車供給網の混乱、車両価格上昇、消費者負担増加、米国企業の競争力低下などを招いている」ということだ。
これに対しこれら企業は世界最大の自動車市場である米国での戦略を全面修正している。これまでメキシコを生産基地にしていたGM、フォード、ステランティスなどは米国の生産工場を現代化し、電気自動車などエコカー生産施設を構築するなど米国に回帰中だ。日本のトヨタもやはりメキシコとカナダにあるエンジンとパワートレイン設備の米国移転を推進中だ。
現代自動車グループも慌ただしくなった。現代自動車のホセ・ムニョス社長は韓米関税交渉が妥結した先月31日、「(現代自動車の)現地化戦略を強化し韓国のデザイン、エンジニアリング、生産部門と米国の生産施設間の円滑な協業を維持する」とソーシャルメディアで明らかにした。現代自動車グループはすでに米国の消費者に人気が高いスポーツ用多目的車(SUV)とハイブリッドカーなどを中心に現地生産ラインを調整し始めた。「アバンテ」「K5」など一部セダンは韓国で生産して輸出する方式に変えた。
産業研究院のチョ・チョル選任研究委員は「韓国企業は欧州と東南アジアなどに輸出戦略を多角化し米国輸出への依存度を低くする必要がある」と強調した。
2025/08/04 09:19
https://japanese.joins.com/JArticle/337102