韓国政府は、8月末に行われる韓米首脳会談で「台湾事態発生時の韓国の役割」については議論されないだろうと述べた。米中対立の雷管となっている台湾海峡問題とはできる限り距離を置きつつ、「実用外交」を堅持していくという戦略だ。
政府高官は5日、「韓米首脳会談で、中国の台湾侵攻の際の韓国の役割について議論する可能性はあるか」と問われ、「まったくない」、「それは仮定の状況なので(議論)しないだろう」と述べた。首脳会談を前にして行われた実務交渉でも、台湾事態の発生を仮定した韓国の役割については、米国側も会談の議題にしないとの考えを伝えてきたという。韓米両国は首脳会談を今月最終週に行うことで事実上調整を済ませており、具体的な会談日程はまもなく発表されるとみられる。
政府のこのような基調は、李在明(イ・ジェミョン)政権が「実用」を外交政策の中心価値として掲げた時から予想されていた。政府は、韓米同盟を基本軸として、中国との戦略的パートナーシップを固めることにも力を注いでいる。このような理由から、韓米首脳の共同宣言で台湾海峡問題に言及したとしても、原則論的な水準を超える表現を用いるのは難しいという見方が強い。台湾海峡問題が韓米首脳の共同宣言で初めて言及されたのは文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2021年5月で、その内容は「ジョー・バイデン大統領と文在寅大統領は台湾海峡での平和と安定の維持の重要性を強調した」というもの。
大統領室と外交部は、中国の官営メディアが敏感に反応したチョ・ヒョン外交部長官の前日のワシントン・ポストとのインタビューについても、積極的に釈明にあたっている。大統領室はこの日、「チョ長官の発言は、韓中間の一部の事案に意見の相違があったとしても、民生および域内の安定と繁栄に寄与する韓中関係を作るために努力を続けるという趣旨のもの」だと公示した。政府高官も「チョ長官は米国と日本を訪問した際、中国に対する関与(engagement)の必要性を強く語った。それに対して『バランス』を取るために、南シナ海や西海(ソヘ)での中国の活動が隣国を不安にさせているということを指摘しようとしたもの」と説明した。
チョ・ヒョン長官は4日にワシントン・ポストが報道したインタビューで、中国と良好な関係を維持したいとしつつも、「中国は隣国にとって多少問題」だと表現した。これに対して中国の外交専門家たちは、環球時報、グローバル・タイムズなどの官営メディアで、「チョ長官は中国を評価する際に米国などの西側諸国の言説体系を使い続けている」として不満を表明した。
2025/08/05 19:41
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