トランプ大統領は取引的な外交をする人と知られている。しかし詳しく見ればイスラエルやサウジアラビアのような少数の国に対してはほぼ無条件に支持してきた。どのようにすればトランプ大統領の韓国に対する認識を上の両国に対する認識水準に変えることができるだろうか。容易ではないが次のような案を考えてみることができる。
最初に、韓国はトランプ大統領が望む「米国を再び偉大に(MAGA)」プロジェクト達成の最大の協力パートナーになれることを強く説得する必要がある。例えば造船業協力(MASGA)を通じて世界の船舶建造量の0.2%にすぎない米国の厳しい状況を大きく補強でき、同様の協力が半導体、防衛産業、原子力分野などに拡張できる可能性があることを説得しなければならないだろう。事実米国を助けられるほどの製造業能力を持っている国は韓国以外にあまりない。
2番目に、トランプ大統領は首脳個人間の人間関係を重要視する。そのため両首脳間に厚い人間関係を形成できる案を準備して行くことが必要だ。また、米国政界には新たに誕生した韓国政権に対する否定的先入観を持っている人が少なくない。彼らの先入観をはっきりと解消できるほどの信頼を与えることに注力する必要がある。そうした点で李在明(イ・ジェミョン)大統領が米国に先立ち日本訪問を決めたのは戦略的な選択だった。単純に日本と米国だけでなく、国際社会全般に李在明政権の積極的な外交に対して肯定的なイメージを植え付けるだろう。
3番目に、米国の国防予算増額に対する要求はできるだけ積極的に検討することが望ましい。もちろん社会福祉、人工知能(AI)投資などあちこちに財政所要が大きい。しかしいまの国際政治は力イコール正義である世の中、規則が消えて武力が先んじる世の中、その結果あちこちで戦争が簡単に起きる世の中に変わってしまった。こうした厳しい世の中で最終的に頼れるのは自らの軍事力だけだ。もちろん南北関係改善で国防費所要を減らすことができるならばそれが最も理想的だ。しかし最近の金与正(キム・ヨジョン)の毒舌にあらわれるようにそうした理想が短期間で達成できるという保障はない。それでも持続的な努力は必要だが安全保障政策は冷徹な現実認識に基づかなければならない。
このような外交的努力を通じて韓国がイスラエルやサウジアラビアのように米国に必要な国で、そのため必ず守らなければならないという認識をトランプ大統領に植え付けるならば、そして拡大抑止に対する彼の具体的な発言を引き出すことができるならば、今回の首脳会談は成功的だと評価できるはずだ。
尹永寛(ユン・ヨングァン)/峨山政策研究院理事長、元外交通商部長官
2025/08/17 10:45
https://japanese.joins.com/JArticle/337660