シンガポールの労働部(日本の省庁に相当)が、7月1日から単純労働職に従事する外国人に向け発給する就職ビザ(WP)の申請年齢を現在の「満50歳未満」から「満60歳以下」へと引き上げる意向を明らかにした。シンガポールは高齢化による労働力不足を克服するため、2022年に定年を62歳から63歳に引き上げている。外国人労働者の年齢制限もこれに合わせて緩和することにしたわけだ。シンガポールは来年は64歳、30年には65歳まで定年を延長する予定だ。
外国人労働者が高齢化しているのは韓国も同様だ。6月13日、ソウル研究院はソウルに住む外国国籍の住民36万人のうち35.2%が50代以上だとし、「外国人住民も高齢化」していることを明らかにした。韓国国内の単純労務職は中国朝鮮族など外国国籍を保有する同胞が主に受け持っているが、ソウルの外国国籍を保有する同胞のうち64%が50代以上だった。こうした傾向は全国的に共通しており、3K業種の現場では若い外国人労働者の争奪戦が繰り広げられているという。
昨年、国連人口報告書は寿命の増加と少子化による高齢化を「世界的で取り返しのつかない過程」と規定した。また、「移民では長期的な人口減少や高齢化の効果を相殺することができない」とし「解決策として見てはならない」と述べた。人口を維持できないレベルで出生率が低下している国がすでに多く存在しているほか、発展途上国の若者が先進国に移住すれば、両国共に出生率が下がる現象が現れるというのだ。
ゴールドマン・サックス研究所が「世界的な高齢化の肯定的ストーリー」という報告書をまとめた。高齢化と同時に「働く期間」が長くなる現象も見受けられるようになってきており、若い世代が高齢化により過重な扶養負担を担うことになるという予想は外れる恐れがあるという内容だ。報告書によると、先進国の平均寿命の中位値は、2000年の78歳から現在は82歳へと高まりを見せる傾向にある。ところが、これまで経済活動期間を意味していた勤労寿命の中位値も34年から38年へと長期化しているという。
同報告書は、人々が「ただ長く」ではなく、「健康に長く」生きるという点に注目している。最新の研究によると、最近の70歳の認知能力は25年前の53歳と同レベルで、より長く働けるようになったということだ。ゴールドマン・サックスはこれを「非常に実質的な意味で『70歳は新しい53歳』」と表現した。先進国における勤労年齢(15-64歳)の人口比率は現在の63%から2075年には57%へと低下する見通しだ。しかし、勤労寿命が5年増えれば、これに伴う労働力不足も相殺される可能性があるという。「60代現役」が当たり前の時代が近づいているようだ。
キム・ジンミョン記者
2025/08/17 08:00
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