韓国の李在明大統領の対日外交戦略が、23日に予定されている韓日首脳会談を前に開かれた光復(解放)80周年慶祝式典を通じて具体的な姿を現した。「光復」や「独立」といった過去史は淡々と取り上げつつ、過去史問題に対する謝罪を含む「反日感情」は後景に退けられたのだ。過去と未来を分離する「ツートラック接近法」が対日外交の新たな基調として定着したという評価が出ている。
李大統領は17日、ソウルのある映画館でドキュメンタリー映画『独立軍:終わらない戦争』を市民と一緒に観覧した。光復会と洪範図(ホン・ボムド)将軍記念事業会が光復80周年を記念して製作した作品だ。李大統領は「洪範図将軍の生涯を通じて大韓民国の土台がいかなる犠牲と献身の上に築かれたのかに気づき、映画が『今の我々』に投げかける問いと光復80周年の意味を改めて胸に刻むことを期待する」と述べた。ただ、映画で繰り返し言及された「国軍正統性論争」については触れなかった。
李大統領は15日の光復節の慶祝辞でも「我々の傍らには依然として過去史問題で苦しむ方々が多くおられる」とし「同時に我々は独立志士たちの夢を記憶する」と語った。しかし、この日も日本軍慰安婦や強制徴用などには言及せず、日本に対する謝罪要求もなかった。
就任後、李大統領は野党代表時代とは違い、反日感情と距離を置いている。光復節でも日本政府に向けて「過去のつらい歴史を直視し、両国間の信頼が損なわれないよう努力してくれることを期待する」と述べたにとどまった。むしろ李大統領は「韓日両国は長い間、曲折した歴史を共有してきたがために、日本との関係を決める問題は常かつ重要で難しい課題だ」とした。
最近の李大統領の韓日外交路線は「庭を共有する隣人論」に要約される。「日本は庭を共に使う我々の隣人であり、経済発展において切り離して考えることのできない重要なパートナーだ」(光復節慶祝辞)というものだ。この表現は6月、カナダで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議期間の韓日首脳会談で「(韓国と日本は)まるで前庭を共に使う隣家のように切っても切れない関係だ」という言葉として初めて登場した。韓国国民大学の李元徳(イ・ウォンドク)教授(日本学)は「同じメッセージが一貫して出てくるので、日本でも李大統領を安定的に見始めた」とし「韓日が過去史問題につまずき実用的な協力を成し遂げられなかったことが多かったが、現政府は初めから『歴史は直視しつつ未来協力は戦略的に推進する』という基調だ」と評価した。
李大統領周辺では、こうした構想が韓米関税交渉過程で固まったとみている。与党関係者は「通商交渉の過程で日本の事例を多く参考にし、その過程で両国間の協力の必要性を切実に感じたようだ」と述べた。実際、李大統領は6月の石破茂首相との会談の際にも国際通商環境の難しさに言及し、「補完的関係にある韓国と日本が多くの分野で協力すれば互いに大きな助けになる」と述べた。
与党圏内では「民主党政権任期内に韓日関係の突破口を開かなければならない」という認識も、李大統領が韓日関係にドライブをかける理由として挙げられている。条件さえ整えば、1998年10月に金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が発表した「21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ(韓日共同宣言)」のように、両国の関係を一段階高める成果を成し遂げようという趣旨だ。ただし大統領室高位関係者は「長期的には検討に値するが、23日の首脳会談の議題ではないだろう」とし「日程の関係上、実務型会談となる可能性もある」と語った。
2025/08/18 07:08
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