【社説】Kカルチャーブーム、産業戦略がなければ他人事に

投稿者: | 2025年8月19日

『K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ』はOTT産業と音楽産業が結びついて強力なシナジーを生み出した代表的な事例だ。ネットフリックスで映画を見た人たちが映画の中の曲を探して聴き、音源に先に接した人たちは映画を探して見ている。『K-POPガールズ!』ブームにはKカルチャーのパワーの影響が大きいが、デジタル時代の新しい文化消費環境も影響を及ぼした。

しかし残念ながら韓国はこの巨大な派生価値の主人公ではない。放映の収益はネットフリックスが、世界各国のファンが出す歌・ダンスカバー映像の収益はユーチューブやTik Tokが握る。韓国産のグローバルプラットホームがない現実を痛感する。フォーブスはネットフリックスが『K-POPガールズ!』をディズニーヒット作『アナと雪の女王』に匹敵するフランチャイズに発展させる計画だと伝えた。製作会社はソニー・ピクチャーズだが、ネットフリックスが製作費を投資する代わりに知識財産権(IP)を確保したため、今後の収益の大部分はネットフリックスが得る見込みだ。『アナと雪の女王』は劇場ボックスオフィス、フィギュア・衣装などのグッズ、ミュージカルなどで20兆ウォン(約2兆円)近い収益を生み出したという。

 このため「素材はKカルチャーだが、お金は米国企業が持っていく」という声が出ている。もちろん『K-POPガールズ!』人気で国立中央博物館の「トラとカササギ」バッジが売り切れ、K-POPに無関心だった西欧の中年男性までが関心を向けるなどKカルチャーにプラスとなる側面も少なくない。しかし過度な被害意識にとらわれたり、逆に過度に自足的な「愛国」に陥る態度は警戒しなければならない。白凡金九(キム・グ)の夢である「文化の力」を持つ国は自負心だけで維持されない。その文化を持続可能にさせる産業的な枠組み、特に知識財産権とグローバルプラットホームが核心だ。

最近の大韓商工会議所の報告書は現実を実感させる。この報告書によると、「世界知識財産権上位50企業」に韓国企業は一つもない。ミッキーマウス、バットマンなどのキャラクターを持つ米国が32社、ポケモン・ハローキティを持つ日本が7社であり、韓国は一つもなかった。源泉IP不足、多角的活用戦略の不在、投資余力の限界などが理由に挙げられた。大韓商工会議所は解決策の一つとして「IP主権ファンドの設立」を提案した。製作会社が一定の持分を保有するプロジェクトに政府が資金を支援することでIP権利を共有する案だ。これを通じてネットフリックスのようなプラットホームが製作費全額を投資してIPと派生収益を独占する構造を避けることができる。注目を引く提案だ。

最終的に韓国の韓流ブームがグローバルレベルの知識財産権の養成につながるためには、民間の創造性を最大化する政府の長期戦略と政策が必要だ。近視眼的な支援や規制はそれほど役に立たない。『K-POPガールズ!』ブームが韓国官民のIP産業戦略を冷静に振り返る契機になることを望む。

2025/08/19 14:21
https://japanese.joins.com/JArticle/337747

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