【時論】半導体300%関税 トランプ節に振り回されるのか=韓国

投稿者: | 2025年8月20日

トランプ米大統領が半導体に関税を200%、さらには300%まで課すことも可能と爆弾のような発言をした。これに先立ち4月にトランプ大統領は相互関税と名付けたが、実情はすべての貿易相手国に一方的に関税を課して世界を対象に関税戦争を宣言した。相互関税に続いて主要品目に対しては品目別関税を別に課すと宣言した。鉄鋼とアルミニウムに対する品目別関税はトランプ1期目当時から続いてきた。2期目はサプライチェーンの核心品目として注目される半導体を品目別関税対象とした。ところが半導体が関税対象品目になったこと自体があきれる。半導体は他の商品と違い、ほとんどの国の間で無関税で取引されている製品であるからだ。

世界貿易機関(WTO)加盟国はグローバル情報通信技術(ICT)発展のために半導体をはじめとする主要ICT製品と部品には関税を課さない内容を盛り込んだ情報技術協定を1996年に締結した。その後、半導体は世界で無関税で取引され始めた。実際、情報技術協定を最も積極的に主導したのは米国だった。ところが、その米国が自国に輸入される半導体に品目関税を課すと宣言したのだからアイロニーだ。

 4月の相互関税発表以降、米国は英国・日本・韓国など貿易相手国と個別に関税交渉を進めた。自動車・鉄鋼など品目別関税が一つ、二つ決まったが、半導体関税はすぐには発表せず、今月初めトランプ大統領が突然発表した。そして「米国で製造していたり米国での半導体製造を約束したりした企業は100%の関税が課されない」と条件を付け加えた。翌日、ラトニック米商務長官は関税免除にまで言及した。

2人の発表内容をそのまま受け入れれば、半導体製造工場を米国に建設した企業は関税の免除まで可能ということだ。バイデン政権で補助金支給の約束を受けた企業としてはこれ以上の条件はない。グローバル半導体不足を経験したバイデン政権は、半導体製造工場を米国に誘致するために外国企業にも米国に半導体工場を建設すれば補助金を支給すると約束した。この補助金を受けて米国に半導体工場を建設すれば、トランプ政権では関税を免除するということだ。

しかし我々の前にある現実はそうでないはずだ。トランプ大統領が半導体補助金は浪費と非難した過去の発言があるうえ、6月にラトニック商務長官が議会で述べた「半導体補助金の一部について再協議をしている」という発言を総合的に判断しなければいけない。すなわち、トランプ政権はすでにバイデン政権の半導体補助金を縮小または廃止する計画を持っているとみるしかない。

したがって補助金は期待するのが難しくなり、過度な関税負担だけが残ることになるだろう。100%であれ300%であれ高率関税は半導体輸出比率が高い大韓民国に大きな衝撃になるしかない。一部では米国が提示した半導体関税が韓国企業に直接与える影響は大きくないという分析もある。1つ目、2010年から2024年まで15年間の韓国企業の半導体輸出で対米直接輸出比率は3.4-7.5%であり、米国が超高率の関税を課しても韓国の半導体輸出に大きな影響を与えないということだ。

2つ目、世界の他の半導体企業も韓国企業と条件が変わらない。すなわち、米国が関税を課しても韓国企業だけが被害を受けたり競争力が低下したりするのではないということだ。3つ目、韓国半導体企業はすでに米国に投資を進行中、または投資計画を持っている。ラトニック長官が言及した関税免除条件を満たしているということだ。

トランプ大統領が「半導体関税300%」を叫んだからといってそれに振り回されている場合ではない。興奮せずに落ち着いて慎重に対応しなければいけない。いま我々がやらなければいけないのは、米国の半導体補助金に対する期待は捨てて、実際に関税がどんな影響を与えるのかを徹底的に分析し、米国との交渉を緻密に準備することだ。

キム・ヤンパン/産業研究院

◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。

2025/08/20 15:24
https://japanese.joins.com/JArticle/337798

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