韓国の「黄色い封筒法」 米国・日本にもある?…法で処罰する規定ない

投稿者: | 2025年8月22日

韓国政府・与党は「黄色い封筒法」(労働組合法2・3条改正案)を「グローバルスタンダード」と主張する。李在明(イ・ジェミョン)大統領も黄色い封筒法に関連し「先進国レベルに合わせるべき」とし、経営界の反発の中でも立法推進意志を明確にしている。しかし2023年に雇用労働部が出した説明資料と専門家の分析を総合すると、元・下請け交渉拡大という方向性は国際的な流れと一部合うが、これを法で直接明文化して規定、処罰するのは極めて異例という指摘が出ている。

政府と労働界が黄色い封筒法を「グローバルスタンダード」と話す主な根拠は、国際労働機関(ILO)結社の自由委員会が2006年から元請けなど「実質的使用者」が団体交渉に参加するよう韓国政府に勧告してきたという点だ。しかし雇用労働部は2023年11月の説明資料で「元請けの団体交渉義務を認めることがILOの立場や欧州主要国の一般的な基準とは見なしがたい」と伝えた。

 ILOの勧告は「元請けが下請け勤労者との交渉義務を必ず負わなければならない」という趣旨でなく、元請けが自発的に交渉するのを妨害するべきでないという意味ということだ。雇用労働部は当時、「元請けの使用者性や交渉の義務を『法で』認めるべきというものとは考えにくい」と説明した。

労働界は日本や米国のような先進国も元・下請け交渉義務を認めていると主張する。代表的な例が米国連邦労働関係委員会(NLRB)が2023年に発表した「共同使用者判断基準施行令」だ。この施行令は労働者の賃金、勤労時間、職務配分、職務監督、就職規則、雇用期間、産業安全の7つの核心労働条件の一つ以上を共有したり共同決定したりする場合、元請け使用者と見なされることもあると規定する。

匿名を求めた労働法専門家は「米国は派遣勤労者保護法(派遣法)がない国であり、共同使用者の概念を通じて派遣勤労者を保護する」とし「半面、韓国はすでに派遣法を通じて実際の使用事業主が派遣勤労者に対する責任を負うよう規定している。黄色い封筒法は派遣でなく請負関係にまで使用者責任を拡張しようとするものであり、これをグローバルスタンダードと見るのは難しい」と指摘した。裁判所も判決で米国の共同使用者性法理をそのまま受け入れるのは難しいと判示している。

日本では1995年に最高裁が朝日放送と社内下請け勤労者間の紛争で「朝日放送は団体交渉に応じるべき使用者」と認めた判例が代表的な元・下請け交渉認定事例に挙げられる。しかし雇用労働部はこれに対して2023年、「日本の場合、労働組合法には団体交渉対象としての使用者概念を規定していない」と明らかにした。これは法の明文で使用者の元・下請け交渉義務を課したものではないという意味だ。

光云大のイ・ジュンヒ法学部教授は「個別事案ごとに特殊性を考慮して判断する判例と、広い範囲で普遍的に適用される立法をするのは大きな差がある」とし「特に『実質的具体的支配・決定』という抽象的文言を明文化するのは多くの副作用をもたらす」と指摘した。

もう一つの争点は、勤労条件に影響を及ぼす場合、事業経営上の判断までが争議行為の対象に拡大した2条5項だ。イ・ジュンヒ教授は「米国では生産ライン外注化を交渉対象と見なした判例があるが、これは個別事案に適用されるもので法で制度化するものではない」と指摘した。匿名を求めた別の法学者は「ドイツをはじめとする多数の欧州国家では経営決定自体は交渉や争議の対象にならない」とし「整理解雇の場合、対象者選定基準など一部の事案は交渉可能だが、整理解雇や廃業決定自体が交渉対象になる事例は珍しい」と説明した。

何よりも雇用労働部は2023年の説明資料で米国と日本を韓国と1対1で比較するのは難しいと指摘した。雇用労働部は「米国・日本は韓国と違い、使用者の団体交渉拒否(不当労働行為)に対する処罰規定がなく、救済手続きだけが存在する。また、ストライキ期間中の代替労働を許容するなど使用者防御権の範囲も広く認められるため、特定の部分だけを別に比較するのは適切でない」と説明した。実際に経営界では黄色い封筒法に使用者防御権のような補完装置を含めることを要求したが、結局、反映されなかった。

2025/08/22 11:11
https://japanese.joins.com/JArticle/337877

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