李在明(イ・ジェミョン)大統領が、大韓民国の首脳としては、1965年の韓日国交正常化以来、初めて日本を最初の訪問国に選択し、石破茂首相と会談した。急変する国際情勢のもとで、韓日関係を安定的に発展させようとする政府の意思は尊重するが、われわれにとって重要な「歴史認識」と「対北朝鮮政策」のいずれにおいても、譲歩したのではないかという物足りなさをぬぐえない。李大統領が日本と約束した内容にそのまま従うことになれば、今後、韓国独自の「戦略的自律性」を確保するのは困難になる。
李大統領は今回の歴訪を終えた後、日本との関係改善を通じて、何を得て何を失うことになるのか、冷静に振り返ってほしい。李大統領は23日午後、石破首相との韓日首脳会談を終えた後、「さまざまな分野で、お互いに有益かつ有用な方向で協力できる最適なパートナー」だとしたうえで、「揺るぎない韓日、韓米日協力が何より重要だ」と述べた。両首脳は、その後公開した「共同プレスリリース」を通じて、▽水素・人工知能(AI)などの未来産業分野における協力▽少子高齢化や首都圏への人口集中など、社会問題に関する政策の経験共有▽人的交流の拡大など、さまざまな分野での協力を強化していくことで意見がまとまった。
日本の反応は、まずは好意的だった。石破首相は「今回の首脳会談を契機として新たな力を得て、更に発展することを期待している」とする同意の意を示し、日本メディアも同様に、李大統領の訪問を肯定的に報じた。
同時に指摘しなければならない大きな課題も、多く目につく。共同プレスリリースに含まれた「1965年の国交正常化以来、これまで築かれてきた韓日関係の基盤」に立ち、両国関係を発展させていくという表現は、2018年10月から韓国最高裁(大法院)が下した強制動員賠償判決が「国際法違反」だとする点を強調しようとして、日本政府が使い続けてきた表現だ。韓日請求権協定が韓日関係の基盤だとする意味を含んでいるのだ。両首脳がこれについて「意見が一致した」とすれば、あらゆる請求権問題が「完全かつ最終的に解決された」という日本側の見解に李大統領が同意したという、深刻な誤解を招きかねない。
両首脳は朝鮮半島問題についても、「韓米日協力を土台に、安保理(国連安全保障理事会)の対北朝鮮制裁決議が忠実に履行」されるようにすると明言した。これは、寧辺(ヨンビョン)の核施設の解体と引き換えに、安保理制裁を一部解除するという2019年2月の「ハノイ・ディール」と、今後起こる可能性のある米国のドナルド・トランプ大統領の北朝鮮へのアプローチに反対するという意味だと解せる。むしろ、「韓国政府の北朝鮮に対する関与政策を支持する」という表現が入っていたほうが、より望ましかっただろう。
2025/08/24 18:41
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