合意文書がない韓米首脳会談、本当の交渉はこれからだ【8月28日付社説】

投稿者: | 2025年8月28日

 李在明(イ・ジェミョン)政権初の韓米首脳会談では懸念されていたトランプ大統領の突発的な発言、また外交安全保障や通商問題での対立表面化もなく無難に終了したと前向きに評価する声が大勢を占めている。いわば最初のボタンをしっかり掛けた形だ。米ニューヨーク・タイムズ紙も「(トランプ大統領の著書)『The Art of the Deal(邦訳『トランプ自伝 アメリカを変える男』)』をしっかり読み込んだ李在明大統領が称賛攻勢で勝ち点を挙げた。

 今回韓国政府はすでに合意した3500億ドル(約52兆円)規模の投資ファンドとは別に、1500億ドル(約22兆円)の追加投資というプレゼントまで準備したが、懸案の半導体と自動車の関税や原子力分野での協力などでは納得いく回答が得られなかった。韓国は今回自動車の関税率を日本やEU(欧州連合)よりも2.5ポイント低い12.5%に引き下げるよう求めたが、米国はこれを拒否したという。

 投資ファンドについても韓国は損失が出にくい融資や保証中心とするよう求めているが、米国は失敗した場合に損失が出る恐れのある直接投資を要求している。会見で「韓国と貿易面で合意したのか」との質問にトランプ大統領は「彼らは幾つか問題提起をしたが、こちらは主張を変えなかった」「過去に合意した形で交渉を終えるだろう」と述べた。米や牛肉など農産物市場の追加開放、またアラスカのガス開発についても一致点を見いだせていない。

 今回の首脳会談はこれまでの慣例とは違い共同声明や共同宣言文などの発表はなかった。主要な争点で具体的な合意を引き出せなかったからだろう。日本、インド、イタリアなどはトランプ大統領との首脳会談後に共同声明を発表した。外交や通商分野で拘束力を持つ共同声明がない場合、今後トランプ大統領の一言でどうにでもなるとの懸念が再び高まるはずだ。

 今回の首脳会談では外交・安全保障・経済などの分野で不確実性を緩和し、韓米同盟強化の第一歩となった点は高く評価できる。しかし拘束力のある文書がないため、今後の交渉で米国の考えを反映した「本当の請求書」が次々と突き付けられる恐れもある。「本当の交渉はこれから」との思いで万全の準備をしなければならない。

2025/08/28 11:17
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