韓国政府が文在寅(ムン・ジェイン)政権時代から推進されたものの、手続きが中断された「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)の加盟を検討する方針を示した。相互関税や品目関税のため、米国への輸出が萎縮する中、輸出市場を多角化する努力の一環だ。
政府は3日、ク・ユンチョル副首相兼企画財政部長官が主宰した「経済関係長官会議および産業競争力強化関係長官会議」で、「類似した立場の国々間の経済同盟ネットワークを確保するため、CPTPP加盟を検討」することで意見が一致したと明らかにした。産業通商資源部のヨ・ハング通商交渉本部長も前日の国務会議で、「米中通商摩擦状況の中で、輸出市場を多角化する」とし、「CPTPPなども戦略的に検討を始めなければならない」と述べた。
CPTPPは、日本、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー、マレーシア、シンガポール、ベトナム、ブルネイが加盟している協定で、最終的にはアジア太平洋地域の共同市場構築を目指し、2018年に発効した自由貿易協定(FTA)の一つ。昨年12月にはアジア太平洋国家ではない英国も加盟した。ところが、当初この協定を先頭に立って推進した米国は、第1次トランプ政権時代に脱退を宣言した後、参加していない。
韓国は「メガ自由貿易協定」とも呼ばれるこの協定への加盟を文在寅政権時代の2021年に積極的に推進した。しかし、被害が予想される農水産業界の激しい反対で、国会報告もできないまま終わった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権も加盟を推進したが、成果がなかった。米国に次いで協定の主導国となった日本が、韓国の加盟に反対したのも、参加を困難にした背景だ。
政府がCPTPPへの加盟を検討するという立場を再び示したのは、トランプ政権の関税戦争による輸出危機を打開するためだ。自動車や鉄鋼などに対する品目関税、残りの全体商品を対象にした相互関税が発効した中、8月の対米輸出は12%も減少した。日本の態度変化の可能性が加盟実現の見通しを明るくするという分析もある。李在明(イ・ジェミョン)大統領は最近、日本訪問を機にした日本メディアとの書面インタビューで、「東アジアを含む太平洋沿岸国の経済協力機構」の構成を議論していかなければならないとし、日本との経済協力強化も強調した。
産業部関係者は「第2次トランプ政権期間中に(協定への加盟を)再び戦略的に検討しなければならない」と述べた。さらに「加盟が適切なのかどうかについて、関係部署と共に国内世論を点検し、再び申請できるならば、条件を検討するという意味」と説明した。福島原発事故と関連した日本産水産物の輸入規制問題が加盟の障害になる可能性もあるとみられる。
2025/09/03 21:18
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