[社説]投資を求めておきながら大規模逮捕作戦、これが同盟のすることか

投稿者: | 2025年9月8日

 現代自動車-LGエネルギーソリューションの米国ジョージア州バッテリー工場建設現場で働いていた韓国国民300人余りが米移民当局に逮捕・拘禁される事態が起きた。幸い釈放交渉が終わり、彼らは帰国することになったが、同盟国のグローバル企業を対象にした前例のない大々的取り締まりに驚きを禁じえない。今回のことは、韓国企業の対米投資はもとより、韓米関係にも悪影響を及ぼしかねない重大な事案だ。

 韓国が3500億ドル規模の対米投資を約束してから1カ月で、李在明(イ・ジェミョン)大統領とドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスで会い、堅固な韓米同盟を再確認してからわずか10日後に今回のことが行われたという点で、韓国国民は不意打ちを食らった感じだ。韓国に直接投資の拡大を要求し、不法滞在者の取り締まりで投資企業を萎縮させる米国の二重的行動に強い遺憾を表する。

 今回のことは、米国現地で期限と費用に合わせて工場を建てなければならない投資企業の現実と、そのための就業ビザ(査証)の発行などの環境づくりには消極的な米政府の方針が衝突する中で起きた。米国で合法的に勤務するためには専門職就業ビザ(H-1B)が必要だが、米国は自国民の働き口を守るために厳しい要件を適用し、数も制限している。このため、やむを得ず短期訪問用電子旅行許可(ESTA)や会議参加、契約締結目的の短期商用ビザ(B-1)などを取得し、米国で業務を行う場合がある。特に工場設立と初期設備には直ちに投入可能な熟練技術者を現地で調達することが難しい事情もある。米国メディアさえ「すべての労働者が逮捕されるならば、工場を建てることはできない」と指摘する理由だ。それでも米当局が大規模な取り締まりを行ったのは「不法滞在者など外国人が米国人の雇用を奪っている」という自国内の感情を 視線を反映したものと分析される。トランプ大統領が「移民税関取締局が自分の仕事をしたまでだ」という反応を示したのも同じ脈絡だ。

 今回のことは、サムスンやSKなど、米国で工場を建設しているほかの企業にも影響を及ぼすものとみられる。日本など他の国々も波紋を注視している。不法移民者の退出と米国製造業の復活を強調するトランプ政権の方針を考慮すると、今回のことは一回性にとどまらない可能性もある。やむを得ない慣行だったとしても、この機に不法的要素をなくさなければならない。カン・フンシク大統領秘書室長は「対米プロジェクト関連出張者のビザ体系の見直し、改善案を推進する」と述べた。工場建設などに限っては、一時的に就業を認めるなど、韓米間の解決策をまとめることを望む。

2025/09/07 20:27
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/54166.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)