【社説】李在明政権100日、いまこそ国民が実感できる成果が必要だ

投稿者: | 2025年9月11日

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が就任から100日を迎えた。12・3非常戒厳令と大統領弾劾の余波の中で行われた早期大統領選挙で当選した李大統領にとって、息つく間もなく駆け抜けた時間だったに違いない。引き継ぎ委員会もないまま選挙翌日に任期を開始し、国家の非常事態を正常化し、崩れた民生経済を立て直さねばならなかったからだ。大統領の初の行政命令として非常経済点検タスクフォースを稼働させ、内需振興のために全国民対象の消費クーポンを支給したのもその一環だった。

最大の関門とされた韓米関税協議では、対米3500億ドル(約54兆2000億円)の投資と相互関税率15%で合意に達した。詳細な協議はまだ残っているものの、農畜産物の追加開放を阻止するなど比較的健闘したとの評価を受けている。韓米首脳会談やそれに先立つ韓日首脳会談を通じて、韓米日三国の協力を固めるなど外交面でも無難にこなした。史上初の国務会議生中継や、大統領主催のタウンホールミーティングといった大胆かつ積極的な意思疎通の姿勢も示した。

 「大統領の最初の100日」は、在任期間のリーダーシップの成否を占う時期とされる。米国のフランクリン・ルーズベルト大統領がこの時間の重要性を強く印象づけた政治家だ。大恐慌で失業と不況が極めて深刻だった状況下でホワイトハウス入りしたルーズベルト大統領は、就任直後の100日間で議会の協力を引き出し、76本の法案を通過させた。緊急銀行法・証券法などの各種法律、農産物価格安定策、後進地域への電力供給のための開発公社設立、大規模公共事業による失業解消策など、ニューディール政策の礎がこの時期に整えられた。その結果、米国経済は大恐慌前の水準まで回復し、失業率も低下した。今日の米民主党の理念的基盤と支持層もこの時期に形成されたという評価が多い。

このように重要な就任100日を過ごした李大統領は、これからは国民が実感できる成果を示さなければならない。統計庁が発表した8月の雇用動向によれば、雇用率は過去最高を記録したが、若年層の就業は16カ月連続で減少している。経済活動参加率でも60代が20代を上回るなど、雇用市場は高齢化している。就職活動を行わない30代も8月基準で過去最多を記録した。それにもかかわらず、新政府の雇用専担タスクフォース会議は昨日ようやく初めて開かれた。

就任初期から李大統領は「中道実用主義」路線を掲げてきた。だが言葉だけでは意味がない。巨大与党である共に民主党は、民生の立て直しよりも検察改革や特検法改正案など強硬支持層を満足させる法案処理に注力しているかのように映る。李大統領自身「経済成長の中心は企業だ」と述べたが、国会では与党主導で企業が懸念する商法改正案や「黄色い封筒法案」(労働組合法改正案)が次々と通過した。大統領と与野党代表との会合で協治への期待が高まるかに見えたが、その翌日の鄭清来(チョン・チョンレ)民主党代表の国会演説で雰囲気は崩れてしまった。与党がこうした強硬路線を続けるなら、実用的成果を出せるか疑問だ。

何よりも民生分野で明確な成果を出す必要がある。融資規制にもかかわらず上昇傾向を続けてきた住宅価格が政府の供給対策で沈静化するのか、人工知能(AI)産業の育成とイノベーションが成長と若年層の雇用創出につながるのか、国民は注視している。協治もまた言葉だけに終わってはならない。大統領に集中した権力構造を分散させる改憲のような制度的補完が必要だ。米国ジョージア州での韓国人職員拘禁事件が示すように、対外変数もいつでも浮上し得る。こうした難題にきちんと対応してこそ、李在明政権が掲げる「有能な実用主義」が現実として証明されるだろう。

2025/09/11 15:51
https://japanese.joins.com/JArticle/338615

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