韓米関税交渉の後続協議のために米国を訪問したキム・ジョングァン産業通商資源部長官が14日帰国した。米国との協議において大きな進展はなかったものとみられる。両国は今年7月30日、韓国が米国に3500億ドル(51兆6800億円)規模の投資を行う代わりに、米国は韓国に対する相互関税(25%)と自動車品目関税(25%)を合わせて15%に引き下げることで合意している。ところが、その後、対米投資の具体的な方式と関連し、両国の立場が食い違っており、米国は自動車関税の引き下げ措置を取っていない。ハワード・ラトニック米商務長官は11日、「関税を払うか、協定を受け入れるべきだ」とし、「日本式合意」を受け入れるよう圧力をかけた。問題は、米国の要求が非常に過度で不公正だということだ。
日本が4日に米国と結んだ了解覚書の内容と韓国政府の説明などによると、米国は3500億ドルのほとんどを融資や保証ではなく、直接投資形式で提供することを望んでいる。投資先はドナルド・トランプ大統領が一方的に決定し、トランプ大統領の任期が終わる2029年1月19日までに3年以内にすべての投資を完了しなければならない。投資の利益は投資金が回収されるまでは韓国と米国が半分ずつ受け取り、その後は90%を米国が受け取る。
投資利益は投資家に帰属しなければならないというのは資本主義の基本原理だ。しかし、米国は無条件に50%と90%を持っていくと主張している。投資先を決める際も、資金を提供する韓国の意見は反映されない。さらに懸念すべきなのは、3年内に3500億ドルを現金で提供しなければならないということだ。経済規模を考えると、韓国には1年に1千億ドル以上の投資金を、それもドルで調達する余力がない。大規模にドルが流出すれば、深刻な外貨流動性危機を招きかねない。3500億ドルは韓国の外貨準備高(4160億ドル)の84%にのぼる。一方、日本は国内総生産規模が韓国の2.5倍近くになり、外貨保有高も3倍を超える。準基軸通貨国であるうえ、米国と無制限通貨スワップ協定まで結んでいる。
米国が相互関税を再び引き上げ、自動車関税を25%に維持すれば、韓国の対米輸出は打撃を受けざるを得ないのが現実だ。しかし、米国の要求をそのまま受け入れた場合、外国為替市場の衝撃など韓国経済全体に莫大な負担が生じかねない。ひとまず、韓国の経済環境と困難を正確に説明し、米国を説得しなければならない。対米輸出も重要だが、手に負えないほど国益を損なうことがあってはならない。
2025/09/14 20:49
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/54223.html