全国民大掃除運動【萬物相】 

投稿者: | 2025年9月28日

 1970年代には土曜日午前や奨学士(日本の指導主事に相当する)来校時などに児童生徒全員が学校の大掃除を行った。通常の清掃と大掃除を分ける基準は木の床の廊下をワックスがけするかどうかだった。ワックスを塗り雑巾で拭き続けると光沢が出る。ワックスが多ければ光沢が出るのではなく、木目に沿った細やかな作業が必要だ。最初は大変に感じるが、作業後に輝く教室を見るとうれしかった。久しぶりに大掃除したのは兵役の時で、司令官の来訪前に大掃除の緊急命令が下った。便器を拭くときは歯磨き粉を使えば匂いもなくなり、ワックスを塗ったように光沢が出た。

 幼い頃は町の住民総出で定期的に地域の大掃除をしていた記憶がある。祖母は「新しくできた道を掃除しに行こう」と私を連れ出した。自動車が通行する新しい道路がどの街にもできた頃だった。地域の大掃除は日帝強占期から始まり、セマウル運動を通じて全国に広がった。セマウル運動の歌の歌詞には「わらぶき屋根をなくし/村の道も広くなり」などのフレーズがある。住居や道路が改良される時は必ず掃除が行われた。いわば地域の浄化とも言えるものだった。

 日本では「大掃除」という言葉に特別な意味合いがある。特に年末は心と体を綺麗にし、新たに出発する時と考えられている。今も日本の学校では児童生徒自ら掃除を行うが、最近日本の子供たちは「掃除はとてもしんどい」と親たちにだだをこねることが多いそうだ。これに対して20年の経歴を持つ日本のある教師はメディアを通じ「掃除をすれば責任感、協働性、そして労働の価値を直接体験できる」として児童生徒自ら掃除をすることの良さについて説明した。

 韓国では1988年のソウル・オリンピック開催前に外国人の目を意識し国の次元で大掃除が行われた。単なる街の清掃ではなく、都市全体を新しくし、こびりついた汚れを落とす街の浄化だった。これにより上渓洞や木洞などかつての貧民街は撤去されたが、これを素材とした「上渓洞オリンピック」という映画まで登場した。当時は空港近くに住む児童生徒たちは海外の首脳らを歓迎するため道路脇から手を振ったが、その際にごみも拾って持ち帰った。

 李在明(イ・ジェミョン)大統領は22日「全国民大掃除運動」を呼びかけた。秋夕(チュソク、仲秋節、旧暦8月15日)やAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議を控え、国全体をきれいにして客を迎えるためだ。李在明大統領は9日の国務会議(閣議)で「(観光振興に向けて)全国レベルでちょっと清掃をしてほしい」と発言した。李在明大統領は京畿道知事在任中に大規模な清掃運動を行い、城南市長だった時は牡丹市場の整備作業を行った。今回の大掃除には政府部処(省庁)、セマウル運動中央会、韓国自由総連盟などが参加する。保守政権がこの種の政府主導運動を呼び掛ければ「時代錯誤」などと市民団体が反発しただろうが、今回は静かだ。

鄭佑相(チョン・ウサン)論説委員

2025/09/28 08:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/09/26/2025092680116.html

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