「レアアース装備も90%が中国産」 対策不在で危機の韓国中小企業

投稿者: | 2025年10月16日

レアアース(希土類)生態系を掌握した中国が重レアアース7種に続いてレアアース生産設備までも輸出統制対象に追加し、韓国国内の中小企業が悲鳴をあげている。レアアース加工装備の90%は中国産であり、国内関連企業は代替財を確保できない場合、工場を停止しなければいけない状況だ。

業界によると、中国商務省が9日に発表した「一部レアアース装備および原副資材関連品目に関する輸出統制決定」にはレアアースの生産・加工に使用される各種装備も含まれた。11月8日から中国企業は▼レアアース遠心分離機▼不純物除去・沈殿装備▼電気分解・溶解・焼結用機器などは中国商務省の許可を受けてこそ輸出できる。

 輸入レアアースはまず輸出国(主に中国)で1次洗練・加工過程を終えるが、国内企業が輸入レアアースを永久磁石に加工するには複雑な過程をさらに踏まなければならない。①1700度以上の高温真空溶解炉でレアアースを溶融・混合②ストリップキャスティング(先端冷却技術)工法で棒形態に固体化③水素粉砕機で2~3マイクロメーター(um)の微細粒子に転換④磁場プレス装置で成形体形成⑤1000度以上の焼結炉で磁石で製造する過程だ。

各段階に必要な装備の大半が中国産だ。業界関係者は「世界のレアアースの69%を生産する中国は関連装備の90%以上を生産している。中国産装備を導入できなければ工場の運営は難しい」と話した。

中国の輸出統制は全面的な輸出禁止ではない。しかし装備の使用を当局が詳細に審査するため通関過程が長くなり、輸入量が減るしかない。特に消耗する設備が問題だ。例えば電気自動車駆動モーターなどの必須部品の永久磁石には軽レアアースのネオジム(Nd)20~30%と重レアアースのジスプロシウム(Dy)10%、鉄60~70%が入るが、これを溶かすのに必要な溶解炉耐熱容器の場合、5~6回使用すれば取り替える必要がある。不純物が内壁に付いて使用できないからだ。永久磁石を生産する中小企業の役員は「溶解炉耐熱容器は中国から100%輸入するが、適時に輸入できなければ生産に支障が生じる」とし「日本も溶解炉耐熱容器を生産していると聞いたが、円滑に適正価格で供給されるかは未知数」と話した。

12月1日から適用される中国商務省のレアアース域外輸出制限規定も国内企業に足かせとなる。中国は4月、重レアアース7種を輸出する中国企業だけを輸出統制対象としたが、今回は中国産レアアースで加工製品を生産する海外企業も統制対象に含めた。中国産レアアースが0.1%以上含まれた永久磁石など完成品が第3国に輸出される場合、その用途を確認するということだ。

軍事用輸出の場合はレアアース輸出が源泉禁止され、民間用の場合は件別に審査を受けなければならない。韓国材料研究院のキム・テフン博士は「半導体や人工知能(AI)関連装備に使用されるレアアース製品まで中国が統制範囲に含めるという意味」とし「核心先端産業全般にわたりレアアースを戦略武器化する動き」と解釈した。

国内企業のレアアース輸入がさらに難しくなる可能性もある。4月以前まで1週間だった輸入レアアース通関期間は1次規制以降2カ月以上に延び、2次規制が始まる12月1日からは事実上無期限となる可能性がある。ある中小企業の関係者は「中国商務省は書類1枚が抜けても輸出審査を2カ月以上遅延させたことがある」とし「審査を通過しても月間必要量の2~3%水準の極少量だけを許諾するかもしれない」と懸念を表した。

政府は対応に追われていて、まだ明確な解決策は出せていない。国家安保室は15日、オ・ヒョンジュ国家安保室第3次長の主宰でレアアースサプライチェーン関連経済安保懸案点検会議を開いた後、「国内レアアース需給現況を点検し、サプライチェーン安定化計画を補完・発展させていく」と明らかにした。ソウル大のカン・ジョンシン・エネルギー資源工学科教授は「米国・日本がレアアース生産企業に出資してサプライチェーンを再建するように、韓国も個別企業だけに任せず政府が直接サプライチェーン拡充に取り組むべき」とし「廃磁石からレアアースを回収するリサイクル技術支援など長期的な対策も併行する必要がある」と話した。

2025/10/16 08:59
https://japanese.joins.com/JArticle/339843

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