「シアヌークビルは美しい浜辺が有名な観光地だった。ところが2017-18年頃すべてが変わった」。
1カ月前にカンボジアのシアヌークビルから韓国に留学に来た大学生ソファラさん(27)は故郷についてこのように話した。ソファラさんはシアヌークビルで生まれて26年間暮らした。ソファラさんは2017-18年ごろ故郷に中国など海外資本が次々と流入しながら変わり始めたと振り返った。外国人が高価格で土地を取得して建物を建設し、オンライン賭博サイトやボイスフィッシング組織を運営し始めたという。彼らは中国・韓国・日本などさまざまな国籍の職員を呼び集めた。ソファラさんが勤務していたホテルも2017年に海外賭博会社に買収され、ホテルの職員全員が解雇されたという。
その後「園区」と呼ばれる大規模な犯罪団地も形成された。約10階建ての建物と1、2つのゲートからなる犯罪団地はA~Zに分かれるシアヌークビル区域ごとに4カ所から最大10カ所ある。ソファラさんは「もともと現地の人だけが居住するところだったが、2020年以降は3人に1人が中国人であるほど外部の人が増えた」と説明した。
数十カ所の犯罪団地があるというカンボジアのシアヌークビル・プノンペン・カンポットなど地域で居住する他の現地人も「もともと『犯罪都市』ではなかったが、突然外部の人が入ってきて雰囲気が変わった」と口をそろえた。カンポット州に暮らしていたクアジョンさん(37)は「3年前までカンポットは静かで大きな事件もない地域だった」とし「3年ほど前から中国人・韓国人など外部の人たちが集まって騒々しくなった」と話した。4年前までプノンペンで暮らして韓国留学に来たナラヌットさん(25)も「平和で安全な都市だったが、最近は外国人が入ってきてフィッシング詐欺のような事業をしながら今のような状況になった」と吐露した。
国際アムネスティと米財務省が明らかにしたカンボジア犯罪団地の形成時期も2020年代だ。中国など外部犯罪集団により犯罪団地が形成されたとみている。2010年代に流入した莫大な中国資本が建設したカジノとホテルリゾートが新型コロナ拡大で収益が悪化すると、2020年代に入りオンライン詐欺犯罪に事業を転換したという。その後、定着した犯罪組織が「高収益職場」詐欺や拉致、人身売買などで人を集め、犯罪生態系が形成された。
韓国に滞在するカンボジア人は正確な情報で国自体に対する誤った認識を正したいと訴えた。特に最近、韓国国内のカンボジア移住者がタクシーや宿舎の予約を拒否されるなど嫌悪の標的となり、苦痛が深まっている。留学生スレイチウさん(29)は「カンボジアで起きた事件だが、カンボジア人による犯罪ではない。誤解のため韓国にいる罪のないカンボジア人までが差別を受けていて残念」とし「韓国との関係が悪化しないか心配」と語った。
高麗大の李信和(イ・シンファ)政治外交学科教授は「最近報道されたカンボジア拉致事件などは超国籍犯罪集団の行為」とし「これを根絶することに集中するべきであり、カンボジアという国とその国の市民に対する嫌悪感情が強まることは警戒しなければいけない」と述べた。
2025/10/17 09:48
https://japanese.joins.com/JArticle/339903