「現金前払い」圧迫する米側に韓国政府が取り出した「分割払い」カード…その効果は?

投稿者: | 2025年10月18日

 韓米関税交渉の3500億ドル(約52兆6800億円)の対米投資と関連して「前払い」を要求する米国に対抗し、韓国政府が「分割払い」を提示したことで、詰めの協議の最大争点になっている。ドナルド・トランプ米大統領は、自身の任期が終わる2029年1月までに3500億ドルを全額現金で投資すべきという立場を示しているが、政府はそうした場合、通貨危機を招く可能性が高いとし、分割払いの代案を持ち出したものとみられる。

 政府の3500億ドル「分割払い」要求は次善策の側面が強い。政府はこの間、米国が要求した3500億ドルの中で直接投資の比重を5%に設定し、残りは保証・融資などにする構想を持っていた。ところが、米国が日本のような全額投資方針から一歩も引かなかったため、約10年間の分割払いを提案した。政府は外貨保有高の85%にのぼる3500億ドルが短期間で米国に流出すれば、国内の外国為替市場に危機が訪れるという点を挙げて、米国を説得している。

 もし米国が韓国政府の分割払い提案を受け入れるならば、直接投資3500億ドルという金額は「固定」される可能性が高い。ある政府消息筋は「米国の立場からすると、分割払いを受け入れたうえで、元金まで減らすのは難しいだろう」と述べた。

 カギとなるのは、トランプ大統領が分割払いの要求を受け入れるかどうかだ。ク・ユンチョル副首相兼企画財政部長官は16日(現地時間)、ワシントンで記者団に対し、「実務長官は(全額の前払い投資が難しいという韓国政府の立場を)理解を示しているが、どこまで説得し、トランプ大統領がこれを受け入れるかについては、確かに不確実性がある」と述べた。これに先立ち、トランプ大統領は15日、ホワイトハウスでの記者会見で韓国・日本との関税交渉を取り上げ、「韓国は3500億ドルを前払いで(支給することで)合意した」と繰り返し主張してきた。

 最近、政府内外で議論されている米国との通貨スワップ協定の締結や「ウォン建て口座を作り投資する方式」などは前払いかそれとも分割払いかの問題が解決された後に議論される事案だ。前払いと分割払いのうち何に決まるかによって、現金投資額や通貨スワップ協定の締結可否と方式などが決まるものとみられる。政府が通貨スワップ問題が交渉「本流」ではないと強調するのも、このような理由のためとみられる。

 例えば3500億ドルを10年に分けて支給すると、1年に350億ドルを投資しなければならないが、1年に韓国が外国為替市場の衝撃なしに外部に搬出できる外貨規模は200億〜250億ドル程度だ。この時、政府が足りない外貨の代わりに「ウォン建て口座を作って投資する方式」などを活用できるということだ。

 政府は両国の造船業協力案である「MASGAプロジェクト(米国造船業を再び偉大に)」が今回も交渉のテコになるとみている。トランプ大統領が造船業の復興に力を入れているだけに、韓米間で進行される関税交渉でこれをテコにして韓国の立場を最大限に貫くという計画だ。7月末、対米輸出関税を25%から15%に下げる大枠の合意をした際も、MASGAプロジェクトの影響が大きかった。

 政府はアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議前までに交渉を妥結するという目標を立てているが、達成できるかどうかについては慎重な態度を示している。キム・ヨンボム大統領室政策室長とキム・ジョングァン産業通商部長官が16日に訪米したことをめぐり、妥結の可能性があるという見通しも示されているが、予断するのは難しい。キム室長は16日(現地時間)午後、キム・ジョングァン長官、ヨ・ハング産業部通商交渉本部長らとともにワシントンの商務部庁舎を訪れ、ハワード・ラトニック商務長官らと2時間の交渉を行った。キム室長は交渉を終えた後「進展があるか」という記者団の質問に「2時間にわたり協議を行った」と答えるだけで、具体的な言及は避けた。

2025/10/17 21:43
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/54493.html

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