石破首相の「戦後80年所感」、日本では反応が冷ややかな理由【寄稿】 朝鮮日報

投稿者: | 2025年10月23日

 日本の石破茂首相が10日に発表した「戦後80年所感」はライブ中継されたが、それを見ていた私はつい爆笑してしまった。私は「日本帝国敗亡史」という講義を担当しており、そこでは日本が太平洋戦争に至った過程の要因分析を行っているが、石破首相が語った所感とその内容がほぼ同じだったからだ。

 石破首相は日本が太平洋戦争に突入した原因が四つあるとした。1番目は軍部が天皇直属だったため首相が軍を指揮できなかった大日本帝国憲法特有の「二重構造」という制度的問題、2番目は戦争に没頭し腐敗し国民の信頼を失い軍の暴走を恐れ沈黙した政治家の責任放棄、3番目は軍部の膨張を後押しする世論に追従し商業主義にしがみついたメディア、最後は当時の国際情勢に対する日本の無知と安易な分析だった。

 石破首相が語ったこれらの内容は実は学界でも多くの支持を集めており、特に目新しい内容ではない。そのためメディアの反応も全体的に冷めていた。読売新聞は社説で「目新しさの乏しい見解を、政局が混迷する最中に、しかも退陣間近の石破首相がわざわざ発出する必要があったのか、見識を疑いたくなる」と指摘し、産経新聞は「大学生の平凡なレポートのレベル」と批判した。中道左派の朝日新聞は社説の見出しを「首相80年所感 言いっ放しで済ますな」と注文し、毎日新聞は「所感」の内容は前向きに評価しつつも「退陣表明後に自身の実績を残そうとするかのように発表した経緯には、疑問が残る」と指摘した。中道の日本経済新聞は「閣議決定でなく首相個人の見解という形式を取った」として「重みにかける」と批判した。

 識者らの反応も冷めたものだった。東京大学の北岡伸一名誉教授は「歴史の解釈は本来、研究者に委ねるべき」として「首相が発言するということには議論がある。私はこうした談話は基本的には出すべきではないと思っている」と指摘した。近現代の政治外交史を専門とする京都大学の奈良岡聰智教授は「談話を出すにはかなりのリーダーシップと準備が必要だが、石破氏にはそれが無かった。不可能な中で無理を重ねて所感として出した印象が強い」との見方を示した。憲法学が専門の麗澤大学の八木秀次教授は「新味がない。(米英との戦争に至った最大の要因である)日中戦争にほとんど触れていないのも実相を映していない」と指摘した。

 日本メディアや識者の評価に私の考えを加味して整理すれば、今回の石破首相の談話には四つの問題があると考える。

 第一に、内容面で目新しさがない。1995年の村山談話はまず植民地支配と侵略への謝罪と反省が込められていた。2010年の菅直人談話は韓日併合が当時の朝鮮人の意思に反したものだったと初めて認めた。2015年の安倍晋三談話は過去の日本が国際政治で孤立に陥った問題を指摘し、開放的な国際秩序の必要性を強調した。これに対して石破首相の所感には何が新たに加えられたか明確ではない。

2025/10/23 07:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/10/20/2025102080081.html

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