29日に韓国の慶州(キョンジュ)で開かれる韓米首脳会談を控え、3500億ドル規模の対米投資パッケージ交渉の妥結が不透明になった。両国はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を契機に交渉妥結を試みているが、核心争点で溝が埋まらず、「成果のない会談」に対する懸念が大きくなっている。
韓国政府関係者などによると、韓米は終盤まで閣僚級協議チャンネルを稼動し合意点を模索したが、期待した劇的妥結は容易ではない雰囲気だ。韓国産業通商部の金正官(キム・ジョングァン)長官は先週末から最近まで2回以上カウンターパートであるラトニック米商務長官とオンライン会議を開いたが溝は狭まらなかったという。
ベッセント財務長官は27日、「交渉妥結はまだ違うようだ。処理すべき細部事項が多く非常に複雑な交渉」と伝えた。先にトランプ大統領が「妥結に非常に近い」と明らかにしたのとは雰囲気が異なる発言だ。韓国政府もやはり「APEC時の韓米関税交渉妥結は難しいのではないかと思う」(オ・ヒョンジュ国家安全保障室第3次長)と明らかにした。大統領室の金容範(キム・ヨンボム)政策室長と金長官が29日の首脳会談直前にラトニック長官に会うとみられるが、首脳会談を契機にした成果演出は容易ではない雰囲気だ。
核心争点は韓国が米国に投資することにした3500億ドルのうち、現金性直接投資の割合と分納方式だ。米国は2000億ドルの現金投資と年250億ドル以上の執行を要求し、韓国は外為市場への衝撃を考慮し年150億ドル以下で対抗する状況だ。相次ぐ対話にも両国の意見差は減らずにいる。
交渉長期化にともなう韓国のリスクは▽関税引き下げ遅延▽主力産業の輸出への打撃▽ウォン安への不安に要約される。自動車・部品関税の引き下げが遅れ、関税施行が予告された半導体・医薬品などが最恵国待遇(MFN)から除外される可能性も大きくなっている。日本がすでに米国との包括協定をまとめており、米国市場で韓国企業の競争力が落ちるとの懸念が高い。
交渉の不確実性は金融市場にも負担として作用している。ウォン相場は最近1ドル=1430~1440ウォンまでウォン安が進んだ。交渉膠着が長引くほど市場の信頼低下と外為不安が同時に大きくなる悪循環が予想される。
米国もやはり政治的負担を抱えている。トランプ大統領に今回のAPECは「トランプ関税」の外交的成果を印象付ける舞台だが、韓国との交渉が膠着すれば同盟内の不協和音がむしろ強調される可能性が大きい。韓国は米国の製造業復興戦略の核心パートナーに選ばれるだけに、協力が初期から揺らげばトランプ政権の産業政策推進動力にも亀裂が生じかねないとの分析が出ている。
ソウル大学法学専門大学院のイ・ジェミン教授は「APECと首脳会談が終わって合意がないという認識が広がれば両国とも負担が大きくなるだろう。最小限、溝は狭まっているというメッセージを出さなければならない」と強調した。
2025/10/28 17:20
https://japanese.joins.com/JArticle/340310