韓国野党も「APECは成功的」…トランプ氏と習近平氏を笑顔にした李大統領の実用外交、その課題は

投稿者: | 2025年11月3日

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が就任後最大の外交舞台となった「首脳会談スーパーウィーク」を締めくくった。10月27日の韓・カンボジア首脳会談で始まり11月2日の韓・シンガポール首脳会談で終わるまで、1週間で二国間会談だけで10回も開催した。米国・中国・日本のほか、カナダやオーストラリアなど、戦略的に重要な国々との首脳会談が相次ぎ、韓国政界では李大統領の「外交試験台」と呼ばれていた。

与党の評価はおおむね肯定的だ。政権発足以来、最大の難題だった韓米関税交渉が妥結し、トランプ大統領との2度目の首脳会談も友好的な雰囲気の中で終わった。共に民主党関係者は「保守政府でさえ切り出すのが難しかった原子力潜水艦燃料の要請を行い、トランプ大統領の口頭承認まで得た」とし「野党の一部が『親中反米』というレッテルを貼ろうとしたが、韓米同盟に忠実であることが証明された」と主張した。

 李大統領は高市早苗首相との初の首脳会談でも、韓日シャトル外交を継続することで合意した。「韓国メディアでは高市首相を極右と評価しているが」という日本人記者の質問に対し、李大統領は「日本メディアも私が当選したとき、『極左だ』『心配だ』と考えていたようだが」と前置きしたうえで、「かなりの長時間にわたり言葉をやり取りしてみて、非常に立派な政治家だと思った」と余裕を見せた。トモア政治分析室のユン・テゴン室長は「国際舞台で安定した姿を見せた」と評価し、「国民世論だけでなく、時に反発していた与党内に対しても、より強い掌握力が生まれるだろう」と分析した。

習近平国家主席との贈り物交換では、機知に富んだ発言で緊張と笑いを同時に誘った。李大統領は1日の韓中首脳会談直後、習主席が贈ったシャオミ製の新型スマートフォンを眺めながら、「通信のセキュリティは大丈夫ですか」と冗談を言った。米中対立の中でファーウェイ(華為)製機器が「バックドア論争」に巻き込まれ、米国の制裁対象となったことを暗に想起させたものだった。無表情だった習主席もこの時は大きく笑い、「裏口(バックドア)があるかどうか、ぜひ確認してみてください」と応じた。

アジア太平洋経済協力(APEC)歓迎晩餐会では、李大統領夫妻がカナダのマーク・カーニー首相夫妻の入場時に1分以上握手を交わし、格別の親密感を演出した。金恵景(キム・ヘギョン)夫人が着用した韓服にダイアナ・フォックス・カーニー夫人が関心を示すと、李大統領は「夫人も韓服がとてもお似合いになりそうだ」と言葉をかけた。60兆ウォン(約6兆5000億円)規模のカナダ潜水艦事前受注競争でドイツと競い合う中、カナダ首相夫妻に特別な親密感を示した格好だ。

李大統領は10カ国との2国間会談で、国民的関心が高い懸案を中心に取り上げた。インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領との会談では、インドネシア側が分担金納付の約束を守らず、議論が続いてきた第4.5世代戦闘機KF-21の共同開発事業問題をテーブルに載せた。韓・カンボジア、韓・フィリピン首脳会談では、韓国人を狙った詐欺犯罪などへの共同対応を協議した。韓・タイ首脳会談では、両国間の包括的経済連携協定(CEPA)の進行状況を点検した。

APEC慶州宣言の調整や円滑な行事運営については、野党からも比較的好評が出た。国民の力の朴成訓(パク・ソンフン)首席報道官は11月1日の論評で、「(APEC首脳会議は)世界21カ国・地域の首脳たちに韓国経済とK文化を知らせるだけでなく、大韓民国の国格を高める機会の場として十分だった」とし「今回の首脳会議の成功的な開催は、全国民の切なる願いが結集した結果だ」と評価した。

ただし、鋭く対立中の争点が次回以降に持ち越された点は課題として指摘される。まず韓米関税交渉の共同ファクトシート(共同説明資料)や覚書(MOU)は依然と調整が続いている。また韓中首脳会談でも「限韓令(韓流制限令)」問題がテーブルに上がったが、明示的な解除には至らなかった。原子力潜水艦問題についても今後意見の食い違いが生じる可能性がある。

明知(ミョンジ)大学の申律(シン・ユル)教授(政治学)は「第1次韓米首脳会談直後、『合意文が必要ないほどうまくいった会談』と言っていたが、その後の結果はどうだったか」と指摘し、「最終的な成果が出るまでは、評価を下すのは早い」と述べた。

2025/11/03 10:43
https://japanese.joins.com/JArticle/340525

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