【グローバルフォーカス】韓国は原子力潜水艦保有国になれるのか

投稿者: | 2025年11月14日

10月、トランプ大統領は韓国の原子力潜水艦建造を承認した。これが実現する場合、韓国は世界で8番目の原子力潜水艦保有国になる。原子力潜水艦は戦略的価値が非常に大きい。海上艦艇はミサイル攻撃に脆弱だが、潜水艦はいくら技術が発展しても探知が容易でない。また原子力潜水艦は潜航距離が長いため、数カ月間も水面に浮上する必要がなく、速度も速い。

世界主要国の海軍は潜水艦乗組員出身者が参謀総長を遂行している。米国、オーストラリア、日本、英国は潜水艦の建造を船舶建造の最優先順位に置いている。今後、強大国間の海上紛争で戦艦の役割を潜水艦が代わりにすることになるだろう。中でも原子力潜水艦が最高の位置を占めるはずだ。

 しかしまだシャンパンを開ける時ではない。いくらトランプ大統領とはいえ、彼の承認が直ちに政府の公式政策決定や米議会の承認を意味するわけではないからだ。AUKUS(オーカス)協定で自国内で原子力潜水艦を建造する予定のオーストラリアの場合も、必要な輸出統制、技術移転および技術力量改革過程が順調でなかったのを筆者は実際に見てきた。オーストラリアが経験した過程に韓国を代入してみよう。

まず、専門家らは韓米原子力協定に注目する。この協定に基づくと韓国は高濃縮ウランを使用できない。韓国内の核管理問題に対する米国の懸念から過去の韓米原子力協定改定は順調でなかった。

たとえトランプ政権が協定を改定して米上院が批准するとしても、韓国は米国のITAR(国際武器取引規定)輸出統制再整備のための協議に入らなければならない。

完ぺきな核管理・監督履歴と敏感な極秘情報保護履歴を持つオーストラリアも改編交渉に数年かかった。ITAR改定を通じてAUKUS協定の履行が可能になったが、米議会は暗黙的にこうした改定が韓国や日本に拡大しないと前提にした。

原子力潜水艦は米海軍の核心的な差別点であり、こうした技術を共有するというのは今まで韓国の政府や産業が経験したことがない徹底的な検証を踏むことを意味する。さらに費用の問題もある。英国・オーストラリア海軍は原子力潜水艦建造、乗船人員補充、潜水艦維持に全体の海軍予算を投入しなければならない。

原子力潜水艦は北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイルに対応する韓国海軍の優位を強化するだろう。しかしこれだけでは米議会の承認を受けるには足りない。特に来年の中間選挙で民主党が議会を掌握すればなおさらだ。

もちろん韓国の原子力潜水艦導入が対中国集団抑止力強化のための措置ということに米議会の確信があれば不可能なことではない。

しかしこうした議論は今まで韓国国内でなかった。在韓米軍の「戦略的柔軟性」を韓国政府が公式的に認めるのが難しい状況で、中国の攻撃に対する連合対応に投入される可能性があるという前提で韓国が原子力潜水艦を導入できるだろうか。米議会と海軍は疑いを抱くしかない。

トランプ大統領の原子力潜水艦承認後に表れた状況のアイロニーはまさにこの点にある。韓国の業界とメディアはあたかも原子力潜水艦が容易に韓国に渡り、米国からの独立が可能というような大きな関心が続いている。

しかし英国とオーストラリアの場合は違った。英海軍は原子力潜水艦管理技術を米国に大きく依存していて、米国真珠湾を出港するバージニア級原子力潜水艦には遠からずオーストラリア乗船員が搭乗する予定だ。米原子力潜水艦は保守のためにオーストラリア基地に停泊できることになる。オーストラリアが今後、戦争に共にするという予測があったため、原子力推進技術の移転決定も相対的に容易だった。「一緒に行こう」として知られる韓米連合軍の朝鮮半島連合態勢は有効だが、朝鮮半島を越える域内に範囲を広げれば状況は変わる。

筆者が見るに、原子力潜水艦は韓国により大きな抑止力と地政学的影響力を与えるだろうが、それが自律性を意味するわけではない。原子力潜水艦保有国に入ることは域内およびグローバル同盟の強化を意味する。

トランプ大統領と李在明(イ・ジェミョン)大統領の原子力潜水艦に対する熱意は歓迎するが、現実的に越えるべきヤマはこのように多い。

マイケル・グリーン/豪シドニー大米国研究センター長/CSIS副理事長

◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。

2025/11/14 15:42
https://japanese.joins.com/JArticle/341046

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