ついに現れたKビューティーバラエティ…西欧とは違う顔で魅了する

投稿者: | 2025年11月29日

 なぜこれまでなかったのだろうか。韓国のバラエティ番組「ジャストメイクアップ」と「Perfect Glow」は企画力と作り方が際立つ番組だ。視聴者に極上のメイクを経験させ、新鮮な衝撃を与えるものだが、Kビューティーの世界的地位を考えればこのようなコンテンツの登場はむしろ遅かったという感がある。

■「ジャストメイクアップ」、ビューティーを超えたアート

 「ジャストメイクアップ」はOTTクーパンプレイの番組で、「白と黒のスプーン~料理階級戦争~」の制作チームが再結成して作った高品格サバイバル・バラエティだ。イ・ヒョリが司会を務め、業界を代表するジョン・センムル、RISABEなどが審査委員として登場する。国内外で活動する60人のアーティストが3億ウォン(約3180円)の優勝賞金をめぐって激突。第1世代の有名な美容家から若手のビューティーユーチューバーまで、「階級を外して」名勝負を繰り広げた。序盤の対決では、モデルの髪型と服装を統制したり、双子のモデルを使って一対一の対決をしたり、誰の作品なのか分からないように審査するなど、公正さに力を入れた。中後半の対決になるにつれ、メイクはどんどんスキルではなくアートの境地に踏み込んでいった。

 視聴者は、メイクが材料の質感を生かし、繊細な筆のタッチや左右の対称を重要とする繊細な作業であり、高度に熟練した技術であることを知った。それだけでなく、企画とストーリーテリングとジャンルが存在するアートであり、哲学と創意性が要求される造形芸術の一分野だということも完全に理解するようになった。出場者の「ソンテール」がモデルの横顔にキュービズムを連想させる線をすっと引く瞬間や、「マックティスト」が自分が最初に思った通りにできなかったことを率直に告白する瞬間、または「パリグムソン」がモデルの眉毛の上にLEDなどをつける瞬間は、どんな芸術家よりもさらに芸術家らしい面貌を表わしていた。メイク材料でフューチャリズムのロボットや青い牛の毛、人魚のうろこを表現するのを見て、人間の肉体を超えた再現に豪快さが感じられた。そう考えると、日常のメイクはどれほど単調で画一的なことか。

 最後の1位を決めるグラビア撮影ミッションは、年配の女優たちの人生に対する尊重が含まれていた。メイクが女性の生に抑圧として作動するという「脱コルセット」イシューに対し、積極的な反例を示すような実践として読みとれた。出場者たちは競争はしても相手を攻撃することはなかった。相手の作業を尊重し、応援し、驚嘆した。負けても自己卑下や絶望することはなく、審査委員の指摘と評価を認めた。互いに学び、感動する美しい芸術の祭典だった。

 「ジャストメイクアップ」は公開直後に大きな反響を呼んだ。クーパンプレイで5週間連続で人気作1位をキープし、世界7カ国でOTT10位圏に進入した。普段メイクに関心がない男性視聴者も引き込んだ。かつて放映されたバラエティ番組「Let 美人」のようなメイクオーバーショーを奇怪な見世物であるかのように眺めていた視聴者たちに、メイクが持つ芸術的でポジティブな面貌を余すところなく刻印した。

■「Perfect Glow」、ニューヨークで通じたKビューティー

 「Perfect Glow」はニューヨーク・マンハッタンに韓国式の美容院をオープンし、予約客をヘアとメイクで変身させるメークオーバー・バラエティだ。ラ・ミラン、パク・ミニョン、ヘアアーティストのチャホン、メイクアップアーティストのLeoJ、Ponyなどが出演する。これまで外国に飲食店を構えるKフードバラエティはうんざりするほど出てきたが、Kビューティーバラエティは今になってようやく出てきた。ユーチューブの数多くのビューティーコンテンツを通じて、他の人が美しくなる過程を見て、視聴者は「代理満足」(疑似的な満足感)と有用な情報を得るということが十分に検証されたのだ。

 「Perfect Glow」にはさまざまな客が訪れる。K-POPアイドルの練習生だったという白人女性はBLACKPINKのジェニーのように変身させてほしいと言い、叶えられなかった夢を現実化したような体験を得る。濃く大人びたアメリカ風メイクをした(韓国人との)ダブルの女性は「韓国風ベビーフェイスメイク」を受け、「私はこれからは公に韓国女性」とアイデンティティを表わす。育児に疲れて自分のケアをおろそかにしていた白人のキャリア断絶女性は、子どもが母親だと気づかなかったくらい活気に満ちたキャリアウーマンに変身する。まるでシンデレラの妖精が使う魔法のようだ。髪はエクステをつけてボリュームアップさせ、洗練されたラインのカットで顔の輪郭を小さく見せる。白人や黒人にも合う色使いで透明感のある肌にほのかなツヤのある質感を作り、ピンクやコーラルなど明るいチークで血色を生かす。ここに服の色と合わせたアイシャドーと重すぎないアイメイクで、すっきり、くっきりとした目元を強調する。Kビューティーの王道だ。

 「ジャストメイクアップ」の「ナチュラル」対決で、ソンテールがKビューティーの精髄である最新のベビーフェイスメイクを具現化し、ニューヨークマスターに勝つシーンが印象的に登場した。「Perfect Glow」ではKビューティーの理想の姿とは何かを見せ続け、それが韓国人の顔に限定されたものではないことをさまざまな人種に証明してみせる。つまり、Kビューティーのグローバルな可能性を積極的に証明するショーケースだということだ。

■世界1位のKビューティーが投げかけた問い

 現在、韓国のコスメ産業は世界1位だ。昨年、米国と日本での輸入市場シェア1位は韓国だった。2位のフランスとの差も大きい。あまりにもK-POPが流行っているから今だけ一時的に売れているのだろうと考えるのは誤算だ。2003年以降、20年間にわたり韓国のコスメ産業が危機の波を乗り越え、インフラを蓄積し、競争力を高めてきた結果だ。2003年に生産とブランドの分離が行われた。その結果、製造はしっかりとした「注文元商標付着生産」(OEM)・「製造元開発生産」(ODM)会社に任せ、設備のない中小企業もアイディアだけで創業し勝負をかけられるシステムが作られた。2010年代に入って韓流と中国観光客の需要が爆発した。韓国製コスメが飛ぶように売れ、輸出市場が数倍に拡大した。しかし、限韓令(中国の韓国文化コンテンツ規制)やコロナ禍で対中国輸出が下がり、危機が訪れた。生存のための輸出の多角化が、むしろ大きなチャンスを切り開いた。米国、日本市場が開かれ、東南アジア、中東、欧州地域の輸出増加傾向も高まり、2022年から輸出が反騰し、昨年にグローバルモメンタムが開かれた。

 このような韓国のコスメ産業の成長には、いわゆる「コスメオタク(コドク)」やビューティーユーチューバーが大きな役割を果たした。キム・エラの書籍『デジタル審美眼』が分析したように、2010年代にK-POPが超国家的ファンダムを形成してから、ソーシャルメディアのプラットフォームやK-POPファンダム、アジア女性たちの間で模倣したい顔はK-POPスターになった。ユーチューブやソーシャルメディアでK-POPスターの顔に近づく「コリアンアイドルメイクアップ」コンテンツが人気を集めた。RISABE、PonyなどのビューティーコンテンツがK-POP、K-ドラマに続き代表的な韓流コンテンツになった。コンテンツで紹介される韓国風メイク法や韓国製コスメに関する関心が高まり、Kビューティーは新しい美しさの準拠となった。

 Kビューティーは一種のスタイルだ。人種の違いから始まり、美学の違いを表すものとなった。アメリカ風メイクとの違いははっきりしており、セクシーさではなく、自然で清純で若々しく見えるメイクを追求する。この姿がアジア人の顔として望ましいかどうかは別として、西欧の白人の顔とは異なるモデルを提示するという点で、アジア女性たちに応用できる代案となった。例えば、一重瞼や丸い顔のアジアの顔によく似合うとして受け入れられた。もちろん、Kビューティーにも人種的な階層の陰は漂っている。白い肌や細長い顔、大きな目、高い鼻を好むのは、西欧の白人中心性の痕跡を示している。また、アジアの中でも韓国人に似ているかどうかによって階層が発生する。しかし、韓国風の白い肌の表現は白人のような肌ではなく、アジアの女性たちもKビューティーをそのまま真似したりはしない。数多くのコメントと相互作用を通じて自分の顔に合うように変形を受け入れる。文化的・人種的な再解釈と混種性が発生するのだ。ベビーフェイスメイクの美学は、性的な魅力を絶った純真な少女のような魅力を追求する、アジア女性のセクシュアリティを巡る二重の態度だとし、ジェンダー問題が提起されることもある。しかし、(男たちの性的な視線がどうであれ)美しさに官能美だけが存在するわけではない。

 このあたりで考えてみなければならないことがある。こんにち、ビューティーコンテンツで紹介される製品を購入し、メイク法を学んでセルフ写真を数えきれないほど撮り、きれいに撮れた写真を選んでソーシャルメディアに載せる多くの女性たちがいる。彼女たちの行為をどう見るべきか。消費資本主義と性別規範に埋もれた受動的な行為と見るべきだろうか。あるいは、自尊心を高めて自分をケアし、見る目を高める美学的な実践であり、自分がどんな人間でどんな人になりたいのかを積極的に表わす主体の自己実現とみることができるだろうか。区分は容易ではない。ただし、後者であるためには理想の姿に対する美学的な省察が必要だ。

 その前に明らかな事実がある。誰もが自分のすてきな暮らしをソーシャルメディアに誇示して生きている時代に、メイクは家や車はもちろん、ブランド品やダイエット、ファッションに比べても敷居が低く、早い効能感を抱かせ、展示する効果も大きい分野だ。その中でも最もコストパフォーマンスが良いのが韓国製コスメだ。そのため、Kビューティーの好況はこれからも続く見通しだ。

ファン・ジンミ|大衆文化評論家。「シネ21」の映画評論家としてスタートし、テレビドラマ、バラエティなど幅広く評論する。人権・歴史・女性・障害・人口・性・階級・権力など社会科学全般に関心が高い。もともとの専攻は医学・保健学。

2025/11/27 19:47
https://japan.hani.co.kr/arti/culture/54847.html

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