ソフトバンクの孫正義会長が最近李在明(イ・ジェミョン)大統領と会い、「人工知能(AI)革命時代にはエネルギー確保が極めて重要だ。韓国の決定的弱点がエネルギー」と助言した。国際エネルギー機関(IEA)も最新の報告書で同様の問題意識を示し、「電力インフラに対する相当な投資が必要だ」と指摘した。
IEAの「韓国エネルギー政策レビュー」によると、韓国は周辺国と電力網がつながっていない典型的孤立系統だ。欧州のように国境を超えて電力を売買することはできない。太陽光や風力など変動性設備が増えるほど電力供給・需要不均衡を国内だけで耐えなければならず、系統安定性費用が大きくなる構造だ。
地形的制約も明確だ。韓国は南北に長くて東西の幅が狭くいため同じ時間帯に日が昇り沈む。広い国土の米国やオーストラリアのように太陽光発電時間帯の分散効果を期待しにくい。国土の70%以上が山地であり、人口密度が高く再生可能エネルギー設備用地を確保するのが容易でなく、風力の場合、山林破壊、景観議論、軍レーダー干渉、鳥類衝突、騒音問題などから事業遅延が繰り返される。送電線建設もやはり環境影響評価と住民の反発、補償問題で着工まで数年かかる。IEAはこれを韓国特有の「立地・地形・政策的ボトルネック」と規定した。
IEAはこうした条件が再生可能エネルギー普及速度と系統信頼度を同時に制約すると分析した。同じ設備を導入しても韓国は物理的条件と社会的受容性が低くコストが多くかかり速度は遅い構造ということだ。孫会長が韓国と日本を「地理的・構造的にエネルギー確保が難しい国」と評価した理由もここにある。
孫会長は、韓国はAI技術と半導体では世界的競争力を備えたが、これを支える電力は「ウイークポイント」と指摘した。超人工知能(ASI)時代に必要なエネルギー基盤が後押しされなければ「AI3大強国」の目標も揺らぎかねないという話だ。
これに加え電力市場構造の制約も問題に選ばれる。韓国電力が発電子会社から送電・配電・小売りまで事実上支配する中で、政府は規制料金体系で消費者料金を管理してきた。低い電気料金が維持された代わりに、電力会社の立場では投資誘引が弱まった。韓国電力の負債は200兆ウォンを超えた。
IEAは解決策として電源多角化と市場改革を提示した。原発、再生可能エネルギー、水素、ESSなどを結合した「炭素フリーポートフォリオ」の構築、電力・ガス・水素を統合管理する独立規制機関新設、再生可能エネルギー・送電線・水素インフラ立地の対立を減らすための国レベルの空間計画導入などが含まれる。
しかし韓国政府の電源ミックス方向は依然として曖昧だ。政府は再生可能エネルギー拡大の意志を明らかにしたが、大規模AI電力需要を満たす原発などの拡大の有無は不確実だ。IEAは原発を韓国のエネルギー安全保障・炭素中立の核心軸と規定し、SMR実証団地を提案したが、政府は第11次電力需給基本計画に含まれた新規原発2基まで再び公論化対象に上げ政策一貫性議論を拡大している。最近着手した第12次力需給基本計画で原発建設が白紙化されることもあるとの懸念も出ている。
檀国(タングク)大学エネルギー工学科のムン・ジュヒョン教授は「再生可能エネルギーを増やすだけでは必要な瞬間に電力を十分に供給できない。AI・データセンターなどの投資計画を立てるならば電力・冷却用水のような基盤インフラまで合わせて提示しなければならない」と話した。
2025/12/09 07:26
https://japanese.joins.com/JArticle/341898