9日午前、京畿道平沢(キョンギド・ピョンテク)の総合物流団地内にある物流倉庫。6500平方メートル規模の内部は巨大な合板製の箱や小包まで各種貨物が床いっぱいに広がっていた。通常の倉庫とは違い貨物はすべて床に置かれている。倉庫関係者は「あの合板製の箱に入った装備だけで400万ドル(約6億円)。ここにある貨物は価格も高く振動にも敏感なため最大限積み重ねないようにしている」と話した。氷点下の寒さでも内部は温度を維持するため温風器が休むことなく動いていた。
ここは半導体専門物流企業の倉庫で、アプライド・マテリアルズとアクセリスなど世界的半導体装備企業のメンテナンス部品と予備装備1万個ほどが保管されている。最近になりサムスン電子とSKハイニックスが多く求める「海を渡ってきた大事な貨物」だ。
人工知能(AI)投資ブームが半導体市場の超好況につながり半導体物流業もともに特需を迎えた。半導体を輸出する航空物流だけでなく、半導体装備と部品を運送する国内専門物流業界も慌ただしくなった。サムスン電子とSKハイニックスの半導体生産工場稼動率が上がり装備メンテナンス需要も大きく膨らんだためだ。
海外装備企業の部品は通常「3者物流(3PL)」委託を通じて国内の半導体専門物流業者が引き受けて運送する。サムスン電子とSKハイニックスの要請があれば物流企業が倉庫に保管された部品をすぐ半導体工場に出荷する。ラムリサーチの部品を運送するイリャンロジスは今年の配送量が前年比30%増加した。AMAT部品を担当するドリームロジスティックスのキム・ビョンソン代表は「1日130件だった平均配送件数が今年に入り200件まで増え8月に従業員20人を追加で採用した」と話した。
韓国の半導体輸出好調が続き航空物流も大きく増えた。先月の半導体輸出額は172億6000万ドルで9カ月連続増加し過去最大を記録した。半導体は湿度と振動に弱いため海上運送が難しく航空便が事実上唯一の運送手段だ。半導体生産と輸出実績が急速に増えフェデックスは7月に韓国と台湾を結ぶ初の直行便を開設し週7便を運航している。台湾TSMCが生産したチップは韓国に輸入され広帯域メモリー(HBM)などメモリー製品とパッケージングされて再び海外に輸出される。
半導体運送分野は物流業界で高付加価値事業に属するが参入障壁は高い方だ。顧客が要求する倉庫の仕様と運送システムを備えなければならず、無振動運送車両も必須だ。オランダから輸入されるASMLの極端紫外線(EUV)露光装備は1台の重さが30トンを超え、価格も数千億ウォンに達する。特殊トレーラーを持つヘウGLSとロッテロジスティックスがそれぞれサムスン電子とSKハイニックスへの運送を専門で担当している。
半導体物流分野の世界的競争はさらに激しくなっている。DHLは8月に北海道の千歳で半導体専用物流センターの着工に入った。近くに官民合弁ファウンドリー企業ラピダスの工場が入るだけにDHLは日本半導体産業クラスターの供給網物流を先取りするという計画だ。カタール航空は4月に半導体産業専用の運送ソリューションである「テックリフト」を発表し半導体物流市場に本格進出した。市場調査会社モルドールインテリジェンスによると、世界の半導体物流市場規模は今年793億2000万ドルと試算され、年平均9.63%成長して2030年には1256億ドル規模に拡大すると見込まれる。
2025/12/10 08:58
https://japanese.joins.com/JArticle/341970