TSMCを中心にめざましい輸出成長を遂げている台湾。だがよく見てみれば輸出中心経済のさまざまな副作用を患っている。台湾は輸出競争力を守るために長期にわたり自国通貨安と低賃金を容認してきた。その結果輸入物価は高騰し賃金は足踏みで国民の生活水準は大きく改善できなかった。エコノミストはこうした構造的問題を最近「台湾病」と命名したりもした。専門家らは通貨安と低成長を同時に体験している最近の韓国経済が台湾の経験から反面教師とすべき部分が少なくないと強調する。
英週刊誌エコノミストは最近「台湾の通貨安は台湾の輸出競争力を維持するのに助けになったが、同時に大きなゆがみを作り出した。台湾の経常収支黒字は肥大化し外貨準備高は積もったが住宅価格は急騰し、国民は比較的貧しかった」と指摘した。エコノミストは「輸出競争力を守るために台湾国民の生活水準を犠牲にしているとみることができる。通貨価値を低く維持すれば輸出企業には補助金を与える効果があるが、輸入企業にはそれだけ負担を与える。食品と自動車・発電用燃料をほとんど輸入している台湾ではこの構造が事実上低所得家計から輸出企業の所有主と従事者に富を移転させる格好」と指摘した。
不動産価格急騰もやはり代表的な副作用だ。世界的物価比較プラットフォームのナンビオによると、台湾の首都台北の不動産購買力指数(PIR)は34.3年で、これは平均的な台北の住宅価格が賃金の34倍に相当するという意味だ。住宅価格が高いことで有名な東京の15.2年の2倍を超えるだけでなく、最近住宅価格が急騰したソウルの26.1年よりも高い水準だ。
韓国外国語大学中国学科のカン・ジュンヨン教授は「台湾は輸出競争力のために低い賃金を維持してきたが、政策の失敗に加え輸入物価と一定部分連動して住宅価格は急速に上がった。また、低評価された通貨価値のため外国人の立場では台湾の不動産が安いため海外投資家の資金が流入して価格上昇をあおった側面もある」と指摘した。
問題はこうした通貨安が招いた「台湾病」に韓国の免疫力が弱い点だ。DB証券が最近発表した「通貨切り下げがもたらす韓国の未来、台湾」と題する報告書で、「通貨切り下げは本質的に家計の購買力を犠牲にして輸出企業に補助金を支給する効果と同じだ。企業がこれを国内に再投資するなら成長につながるだろうが、現在は米国など海外に生産拠点を移す産業空洞化が進行している」として韓国が台湾と同じ道を歩むと指摘した。
報告書をまとめDB証券のムン・ホンチョル研究員は「韓国は最近のウォン安高も問題だが関税交渉などで海外に工場をさらに多く作ることになれば輸出で稼いだ企業の利益が国内にとどまらなくなる産業空洞化がさらに大きなリスクになる」と指摘した。実際に台湾のフォックスコンはアップル向けに作るiPhoneの大部分を中国工場で作る。聯華電子もやはり日本、中国、シンガポールなど複数の国に生産施設を拡大してきた。
2025/12/11 10:39
https://japanese.joins.com/JArticle/342045