在韓米軍の規模を現在の水準である2万8500人で維持する内容が含まれた米国の2026会計年度国防権限法案(NDAA)が10日に米下院を通過した。「同盟の現代化」を名分にしたトランプ政権の在韓米軍の役割・規模調整議論が進められる中でだ。
米下院はこの日、総額9010億ドル(約140兆円)規模の国防権限法案を賛成312票、反対112票で可決処理した。この法案は来週に予想される上院での採決を通過すればトランプ大統領の署名を経て発効する。
◇「在韓米軍の一方的縮小に予算使用不可」
今回の国防権限法案は米軍兵力の年平均給与3.8%引き上げと軍用ドローン生産能力促進、国家ミサイル防衛システムのアップデートと「ゴールデンドーム」構築など広範囲な軍事政策が含まれている。承認予算を現在の2万8500人水準である在韓米軍兵力を縮小するのに使用できないという内容が明示された。
この条項は第1次トランプ政権で議会が政権の一方的な在韓米軍縮小を牽制するために2019~2021会計年度の国防権限法に盛り込み、バイデン政権当時に削除されたが、今回再び復元された。第2次トランプ政権発足後、在韓米軍縮小を念頭に置いたような発言が相次ぐ状況で議会が政権を牽制するためのものという分析が出ている。
5月のアジア安全保障サミット(シャングリラダイアローグ)を控え米国防総省高位当局者が「在韓米軍兵力規模縮小の可能性を排除しない」と述べ、ヘグセス国防長官の首席顧問を務めたダン・コールドウェル氏と米シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」のジェニファー・キャバナー上級研究員は7月に発表した報告書で在外米軍準備態勢再編論とともに在韓米軍を約1万人に減らさなければならないと主張した。
◇「米拡大抑止再確認…韓国と同盟強化」
下院を通過したNDAAは「韓半島(朝鮮半島)の平和と安定という共同目標を支援するため約2万8500人の在韓米軍兵力の維持、相互防衛基地協力強化、そして相互防衛条約に合致する方式で米軍の全方向的な防衛能力を活用した米軍の拡大抑止(核の傘など)公約再確認など韓国との同盟を強化する」という内容が盛り込まれた。
国防権限法案はまた、韓米連合司令部の戦時作戦統制権を米軍指揮部から韓国指揮部に移譲する過程で、両国間で合意した計画と異なる方式で進めることに予算は使われないと明示した。ただし法案は米国の国家安全保障利益に合致し、韓国と日本と国連軍司令部に軍事的に寄与した国など同盟国と適切に協議した点を所管常任委員会に提出すれば60日以降このような制限が解除されるという但し書きを付けた。
今回の国防権限法には欧州に配備された米軍兵力7万6000人をそのまま維持するが米国の安全保障利益に合致し北大西洋条約機構(NATO)同盟国と協議されたという事実が証明される場合にだけ縮小が可能だという内容も含まれた。
◇「台湾安保協力プロジェクトに10億ドル支援」
中国と関連しては「インド太平洋地域で拡大する中国の影響力に対応するため域内同盟国やパートナー国と軍事訓練に対するトランプ大統領の予算要請を全額支援する」という内容と、「台湾安全保障協力プロジェクトに10億ドルを支援する」という条項が盛り込まれた。これとともに中国の特定技術に対する米国の投資を制限する規制が新たに含まれた。これは中国の人工知能(AI)や軍事技術開発に米国資本が転用されてはならないという超党派的懸念が反映されたと分析される。
国防権限法は毎年国防総省の予算支出と政策を承認する法案だ。総額9010億ドル規模の今回の法案は▽獲得(武器・装備購入)1620億ドル▽研究・開発・試験・評価1460億ドル▽作戦と維持・保守2910億ドル▽軍人材と保健2340億ドル▽軍事建設と軍人家族住宅200億ドル▽国防核プログラム340億ドルなどで構成された。2026会計年度国防権限法は10月1日から来年9月30日まで適用される。
◇アンディ・キム「北朝鮮の非核化抜けたNSSに懸念」
国防権限法案のうち在韓米軍関連条項は9月に下院、10月に上院をそれぞれ通過した後、最近両院の調整手続きを終えた状態で、この日下院を通過した法案は上下院統合案だ。これと関連し韓国系のアンディ・キム上院議員は「現政権が韓半島の在韓米軍兵力を一方的に縮小できる権限を制限する措置が設けられたことを誇らしく考える」と話した。
彼はただトランプ政権が最近公開した最上位戦略指針書である国家安全保障戦略(NSS)に北朝鮮と北朝鮮の非核化が抜けている点については「韓半島問題をあまり重く取り上げていない点が懸念される」と評価した。その上で「米国が備えるべき国家安全保障戦略に合致しないことに事実上米国のグローバルリーダーシップを放棄しようとする試み」と批判した。
2025/12/11 17:57
https://japanese.joins.com/JArticle/342073