【社説】半導体戦争の足引っ張る韓国気候エネルギー環境部長官の発想

投稿者: | 2025年12月29日

韓国気候エネルギー環境部の金星煥(キム・ソンファン)長官が26日にメディアとのインタビューで「いまからでも竜仁(ヨンイン)半導体クラスターを電力が多い地域に移さなければならないのではないかとの悩みがある」と明らかにした。サムスン電子とSKハイニックスが竜仁に入居する場合に必要な電力は原発15基分、約1500万キロワットに達する点を上げ、「企業がエネルギーが生産される場所に行き、避けられない場合だけ送電網を利用する構造に制度を変えなければならない」と述べた。いわゆる「エネルギー地産地消」構想だ。しかしこれは半導体産業の現実と国家戦略のタイムテーブルを十分に考慮した発想なのかは疑問だ。

竜仁半導体クラスターは2019年4月に文在寅(ムン・ジェイン)政権が「システム半導体ビジョン2030」を発表しながら初めて輪郭を表わした。その後尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時代の2023年3月に国家産業団地に確定した。政権をまたがって推進されてきた国家核心戦略事業だ。汝矣島(ヨイド)に相当する777万平方メートル規模で、電力と用水確保に向けた発電所と送電網、導水管路まで国家計画に反映されており、補償と行政手続きもすでに進行中だ。こうした状況で「いまからでも移すことができる」という主張は少なくとも10年を見据えて推進される半導体産業の時間感覚とは正面から衝突する。

 竜仁の代替として議論される全羅北道(チョンラブクド)のセマングムが果たして半導体産業を後押しする基盤を備えているのかも確かめなければならない。セマングムに電力を100%再生可能エネルギーで充当するよう設計されたRE100産業団地を造成し、半導体生産施設の一部を移転しようという主張が与党からも出ているが、再生可能エネルギーは半導体工場が要求する「常に安定した電力」ではない。太陽光と風力は間欠性を避けることができず、結局原発とLNG発電、大規模送電網に依存するほかない。場所を移すからと問題が消えるのではなく、同じインフラを改めて構築し時間と費用が増えるだけだ。

最近の民主党湖南(ホナム)発展特別委による光州(クァンジュ)半導体誘致提案も同じ限界を抱えている。青年流出と地域沈滞を半導体で解決するという論理だが、過去に江原道(カンウォンド)でも似た主張が提起されたが現実性不足で進展しなかった。半導体は専門人材と関連企業が集積されたクラスター戦略が核心だ。金長官が管轄官庁である産業通商部と投資主体である企業の意見を聞いてみたのかも疑問だ。

半導体産業は電力・用水・供給網が同時に提供されなくては回らない。これを地域の嘆願や政策哲学の実験対象とする瞬間に国家競争力は揺れる。米中が先端技術覇権競争を行っている状況で日本はTSMC熊本工場を超短期間で完工し、中国はDRAM市場で韓国を猛追撃している。いま必要なことは移転論争ではなく竜仁半導体クラスターを1日でも早く完成することだ。半導体戦争は速度戦だ。遅らせる時間はない。

2025/12/29 17:10
https://japanese.joins.com/JArticle/342737

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