映画館の運命を握るα(アルファ)世代、書き直される「鑑賞の文法」【寄稿】=韓国

投稿者: | 2025年12月30日

 映画館の時代は終わるのか。半分は正しく、半分は間違っている。巨大技術資本がハリウッドの100年の歴史をむしばんで久しい。アマゾンはMGMを飲み込み、ネットフリックスはワーナー・ブラザースを狙っている。ストリーミングプラットフォームは伝統的な「ホールドバック」(映画館公開後の、動画配信サービス(OTT)やVODでの公開までの猶予期間)秩序を破壊した。物理的な空間と時間を前提とした「濃厚な」メディア経験はもう用無しだ。

 韓国の状況も同じだ。業界1位のマルチプレックス「CGV」は、昨年の4カ所に続き、今年だけでも12の上映館を閉鎖した。メディアニッチ理論(Niche Theory)は冷徹だ。時間と注意力という資源が限られている中では、より便利で強力な新規メディアが登場すれば、既存のメディアは隅に追いやられる。この論理の通りなら、映画館はすでにネットフリックスとユーチューブという強力なライバルの前に立たされている。映画産業の黄金時代が暮れつつあると解釈されている理由はここにある。

 だが、この斜陽産業の最前線に何者かが押し寄せている。今年8月に公開された日本のアニメーション映画「鬼滅の刃:無限城編」は韓国でボックスオフィス(映画館での売り上げ)1位となり、存在感を示した。外国アニメーションとしては異例の成果だ。今、映画館に生命力を吹き込んでいる主体はシネフィル(映画ファン)ではない。生まれた時からスマートフォンを握って育ってきた「α(アルファ)世代」(2010年以降生まれの人)だ。

 米国の市場調査機関「NRG」によると、α世代はそれ以前の世代より映画館訪問に大きな好感を示している。ただし、その理由は異なる。彼らにとって映画館とは、息を殺して名作を鑑賞する「聖殿」ではない。友人と笑ったり反応したり、映画に出てくる歌を一緒に歌ったり(シンガロング)、その経験を写真にしたりしてソーシャルメディアでの対話へとつながる「社会的イベントの現場」だ。実際に、彼らの50%以上が「静かな上映館よりにぎやかな上映館」の方が好きだと答えている。

 α世代にとって映画館とは、代替されるものではなく「再定義」されるものだ。日常のコンテンツ消費はOTTに移動し、集団的で騒がしい「儀礼(Ritual)」だけが映画館に残る。彼らの鑑賞基準は監督の演出力や語りの深さではない。「自分の友人たちに語られているか」、「すでに知っているキャラクターや世界観か」の方が近い。ゲーム、アニメーション、ミーム(Meme)文化と結び付いたフランチャイズは生き残るが、物語の力だけで観客を説得しようとする語りは早期に退場する。問題は、この変化は映画館を生き残らせると同時に、その中で許される選択の幅はむしろ狭まるというところにある。

 これは映像メディアに限らない。出版と雑誌、ジャーナリズム全般でも、「遅さ」と「蓄積」は次第に居場所を失いつつある。創刊から55年の歴史を持つ韓国最長寿の月刊誌「セムト」の無期限休刊のニュースは、それを象徴的に表している(12月10日付ハンギョレ)。ゆっくり読まれ、個人の内面に沈殿するメディアは、直ちに反応して拡散することができないとの理由で周辺へと追いやられている。

 まさに「信頼の逆説」だ。情報やコンテンツはあふれているにもかかわらず、それ自体は信頼されていない。代わりに他人の反応を信頼する。α世代にとって映画(コンテンツ)とは、完結したテキストというより、次のクリックと次の反応のための「エサ」だ。映画館はその材料を最も華やかに確保できる場所だ。作品性は評論家の評価ではなく、SNSのハッシュタグで証明される。

 この構造においては、映画館とOTTは対立しない。むしろ映画館は、オンラインプラットフォームの話題性を生産する最前線として作用する。信頼の残らない映画館、しかし話題は残る映画館。これが私たちの直面している映画館の現状だ。

 結局のところ、観客を暗闇の中に座らせ、スクリーンのみを凝視させていた、思い出とロマンの詰まった「鑑賞の時代」は終わりつつあるのだ。今や映画館は、事件と拡散を前提とした「参加と証明写真の空間」としてのみ有効になる可能性が高い。この変化が文化の拡張へとつながるのか、それとも薄っぺらな遊戯へと収れんするのかは、まだ断定できない。

 一つだけはっきりしていることがある。100年あまりの歴史を有する映画館が次の世紀にまで生き残るために握りしめた入場券には、もはや「沈黙」は含まれていないということだ。

2025/12/23 20:52
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/55070.html

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