国際秩序が急変している。第2次世界大戦後、80年維持されてきた国際社会の規範、条約、制度が崩壊しつつある。霧はさらに濃くなっており、不確実性が高まっている。各自が自ら生存を追求しなければならない時代だ。大西洋同盟に依存してきた欧州連合(EU)も、非同盟を追求してきたグローバルサウスも、地政学的緩衝国も、いずれも戦略的自律性を考えている。歴史的に緩衝地帯であり、分断国家であり、同時に同盟依存度の高い韓国は、いかなる戦略的自律性を追求すべきなのだろうか。
トゥキディデスが述べたように、強者はなせることをなすが、弱者はなすべきことに耐えねばならない。韓国は大国ではない。自律性には限界がある。もちろん、自律は孤立ではない。2016年にEUが戦略報告書で初めて「戦略的自律性」という概念を使用した時も、独立ではなく協力を強調していた。過度な依存を減らすとともに自立の力量を育むものの、必要なら多国間協力で対応能力を高めると宣言したのだ。10年の時が流れ、第2期トランプ時代にEUの自律性がどれほど高まったかは疑問だ。ただ、方向性は今も変わっていない。孤立は多極化時代に最も避けるべき選択であり、EUは新たな協力に向けて改めて動きだしている。
地政学的緩衝空間において、分断は自律性を制限する。分断は忘れようと主張する人は少なくないが、分断の現実は否定したところで消えることはない。緩衝空間である朝鮮半島において分断は大国の介入ルートとなるし、外部変数のぜい弱さを意味する。互いが相手を悪魔化して敵対の大義名分を提供するとともに、新たな思考を阻んできた。南北関係の悪化は緩衝地帯を協力ではなく対決の空間にするとともに、変化への対応能力を低下させる。
EUは米国との関係において、ASEANは米中戦略競争において、戦略的自律性を高めるために域内の連帯と統合を強調する。インドネシアのスカルノ大統領はかつて、ASEANの役割を強化するために「多様性の中の統一」を強調した。南北関係においても、対外情勢の変化に能動的に対応するために、違いを認めつつ共通点を見出す平和共存の知恵がよりいっそう重要になっている。
世界的なレベルで同盟は危機にある。米国のトランプ政権は、もはや国際的な指導力を語らない。同盟関係における利益の均衡という概念を廃棄し、米国の利益のために同盟国に負担を課すことを宣言している。同盟関係においては、国益を守るために自律性を確保しなければならない。時間はかかるだろうが、転換の意志が重要だ。戦略的柔軟性を認めながらも関与のリスクを減らし、作戦統制権の返還を通じて軍事主権を回復し、米国の拡大抑止を補完する独自の抑止能力を培わなければならない。自律は常に自強によって可能となる。
自律性は能力に比例する。冷え込んだ南北関係を解決するには、能力がなければならない。残念ながら、核問題の解決のための安全保障を提供する権限がないし、制裁問題で経済協力も難しい。中国と北朝鮮はいずれも、米国を説得する能力が韓国にあるのかと問うているが。誰がトランプ大統領を説得できるのか。南北関係の改善において、重要なのは意志ではなく能力だ。何かを語れば行動しなければならない。できもしないのに語ってばかりで信頼を壊した過去の失敗を繰り返してはならない。
自律性は一朝一夕には身につかない。世界の急変に能動的に対応する能力を育まなければならない。変質した世界で過去の知恵は通用しない。相変わらず南北関係の黄金期を懐かしむ人々は少なくないが、良い時代が再びやって来ることはない。容易ではないが、それでも努力して達成すべき共存の未来は過去の再現ではない。柔軟になるためには、過去の慣れ親しんだ考えと決別しなければならない。
新たな外交の想像力が必要だ。中国と日本との間で必死に動いて空間を作り、ASEANとの戦略的協力を強化し、グローバルサウスとの新たな協力を追求し、なしうる多国間協力を最大限増やさなければならない。脱冷戦初期の北方外交が韓国外交の真の出発点だったとすれば、今や変質した世界にふさわしく、高まった国力にふさわしく、韓国外交も一段階上へと飛躍しなければならない。
自律性は草だ。草は風に従属しない。風より先に横になり、風より先に立ち上がる秘けつは柔軟さだ。あらゆる分野で強風が吹いている。東北アジア地域も朝鮮半島も無風地帯ではない。風に倒されることなくバランスを保つためには、変わらなければならない。李在明(イ・ジェミョン)政権の外交戦略が見えないと批判する人がいるが、今は曖昧さが戦略だ。動いているうちに空間は作られる。柔軟な外交のために、なすべきことは多い。今は戦略的自律性に集中すべき時だ。
2026/01/25 16:13
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/55280.html