最近、中国商務部が軍民(軍用・民生)両用物資に対する輸出統制を強化し、日本を標的にした動きは、グローバル供給網に投げかけられた警告だ。高市早苗首相の右傾化と台湾問題への介入に対し、中国が「レアアースのバルブ」に手をかけ始めたという分析は、韓国の産業界にも大きな不安として迫っている。私たちはしばしばレアアースの中国依存を環境規制のせいにしがちだが、その背後には、西側諸国が短期間で決してまねできない緻密な「供給網の設計」が存在する。
最初に挙げられる障壁は環境汚染だ。レアアースの精製・製錬工程では、必然的にトリウム・ウランといった放射性元素の発生を伴う。これを処理する過程では強力な酸性薬品が大量に投入され、その結果生じる放射性廃棄物を法的基準に合わせて管理するには天文学的なコストが発生する。過去にマレーシアでオーストラリア企業ライナス(Lynas)の精製工場が経験した環境摩擦の事例は、技術的な安全性の有無とは別に、社会的受容性と規制リスクが事業の成否を左右し得ることを示している。こうした文脈において、先進国が自国内にレアアース精製施設を構築することは、ESG(環境・社会・ガバナンス)という高いハードルに阻まれている。中国は過去数十年にわたり、こうした環境的負担を甘受しながら世界の「レアアース受託拠点」の役割を自任し、その結果、誰も価格で太刀打ちできない独占的地位を固めた。
しかし、環境問題よりもさらに恐ろしいのは、技術面での圧倒的優位だ。レアアースは17元素が化学的に非常に似通っており、これを個別元素として高純度で分離することは極めて難しい。ここで、中国「レアアースの父」と呼ばれる徐光宪教授が確立した「直列抽出理論」が登場する。彼は複雑な分離工程を数学的モデルとして精緻に設計し、産業的な大量分離に重要な理論的基盤を築いた。米国や欧州でも実験室レベルでの高純度抽出は可能だが、これを産業規模で低コスト・高効率に実現する工程ノウハウでは、中国と相当な格差が存在するというのが専門家の一致した見方だ。単に鉱山を確保すれば解決する問題ではなく、数万回の試行錯誤が蓄積された工程ノウハウそのものが、中国の手中にあるというわけだ。
最も決定的な違いは、垂直統合された製造業基盤だ。レアアースは17元素が混ざって産出されるため、需要の多いネオジム(Nd)やジスプロシウム(Dy)だけを選んで使い、残りを捨てれば、全体の生産単価は急騰する。ここで中国の「規模の経済」が威力を発揮する。中国はレアアース精製所のすぐ隣に磁石工場、電池工場、石油化学団地を配置した。価値の低いランタン(La)やセリウム(Ce)は、ガラス研磨剤や微小粒子(PM)低減装置の原料として大量に吸収する。さらには、処理に困る放射性副産物であるトリウムまで、次世代「トリウム溶融塩原子炉(TMSR)」関連実験を通じて活用可能性を検証している。廃棄物をエネルギー資産に変える循環構造を通じて、中国は他国が追随できない圧倒的な価格競争力を確保した。世界のレアアース永久磁石生産量の90%を中国が掌握しているのは、決して偶然ではない。
日本が今年から南鳥島周辺の海底でレアアースの試掘に乗り出すとしても、水深6000メートルの極限環境で泥を引き上げるコストは、経済性の面で依然として疑問符が付く。仮に日本が原料確保に成功したとしても、それを部品化するエコシステムがなければ、結局は再び中国の製錬所の門をたたかなければならないという逆説的状況に置かれることになる。韓国産業は、この嵐のただ中にある。半導体研磨剤から電気自動車モーター、スマートフォンに至るまで、レアアースなしに先端産業は成り立たない。中国が日本に向けてバルブを締める瞬間、供給網はドミノのように崩れるだろう。いまや私たちは、単に脱中国の鉱山を探す水準を超え、安全保障コストを支払ってでも、精製と磁石製造を包含する韓国型レアアース統合拠点を構築するか、主要同盟国との代替エコシステムを早急に完備しなければならない。レアアース覇権は資源の量ではなく、その資源を付加価値に変える「完結したエコシステム」から生まれるからだ。
イ・チャンミン/韓国外国語大学国際地域大学院教授・リセットコリア韓日関係分科委員
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2026/01/26 15:21
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