1973年、エジプトなどがイスラエルを奇襲攻撃した。第4次中東戦争だ。この戦争に先立ってアラブ諸国と3回戦い、全て勝っていたイスラエルは、油断して大きな打撃を受けた。米国が急いで輸送機で軍事支援を行おうとしたが、問題が生じた。欧州諸国がアラブ産油国の「石油報復」を恐れ、輸送機の中間給油を拒否したのだ。実際、戦争直後に第1次オイルショックが起きた。ポルトガルだけが大西洋の自治領であるアゾレス諸島での中間給油を認めた。その島のおかげで、イスラエルは生き延びた。
米国がリビアを爆撃したとき(1986年)は、英国だけが中間給油基地を開設してやった。仏・伊などはアラブ圏の「テロ報復」が怖くて領空通過すら許さなかった。米国の戦闘機は大西洋から地中海へと入るジブラルタルに迂回(うかい)しなければならなかった。91年の湾岸戦争時は、サウジアラビアが積極的に米軍の中間給油支援を行った。イラクのクウェート侵攻後、次の目標はサウジアラビアである可能性があったからだ。英国とサウジは代表的な親米国だ。他国の空軍機の中間給油許容は「同じ側で戦う」と言っているに等しい。
韓国空軍のアクロバット飛行チーム「ブラックイーグルス」のT50型機は、韓国製の超音速機だ。世界のエアショーに参加してK防衛産業をアピールする代表選手だ。航続距離は1800キロを少し超える。T50には空中給油を受ける機能がない。遠方の国のエアショーに参加しようと思ったら、途中で着陸して油を入れなければならない。2年前までは台湾で中間給油を受けていた。ところが2024年に突然、中国が抗議してきた。台湾を巡って米中の対立が激化する中、韓国空軍機の台湾での給油が双方の軍事協力の端緒になるのでは―と恐れたのだ。民間機の注油とは別次元と見なした。
そこで韓国は日本の沖縄を代案として考えたが、暗礁が出現した。日本は、T50が独島上空で訓練したことを問題にして沖縄での給油を拒否した。だが高市首相の「台湾有事の際に軍事介入する可能性」発言で中国が大々的に報復したことで、状況が変わった。高市首相は今年1月、日本を訪れた韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領をもろ手を挙げて歓待した。そして韓国のブラックイーグルスの沖縄中間給油も認めた。韓国空軍機の日本領における中間給油は初めてだという。ブラックイーグルスは沖縄を経由してサウジのエアショーに参加した。
最近、内閣府の世論調査で、米国を除き「日本の平和と安全に役立つ防衛協力相手国」として韓国が1位になった。この項目の調査で韓国の1位は初めてだという。韓国と日本は互いに無視できない関係ではあるものの、国際政治は生き物のように動くという事実をあらためて感じる。
安勇炫(アン・ヨンヒョン)論説委員
2026/02/05 09:00
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